2022 Fiscal Year Annual Research Report
Temperature effects on the geo-environment: Speciation of metals and soil structure
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21H01426
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高井 敦史 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (30598347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝見 武 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (60233764)
Gathuka Lincoln.Waweru 京都大学, 地球環境学堂, 特定研究員 (70885582)
加藤 智大 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (80943612)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自然由来 / 重金属等 / 地下温暖化 / 地盤汚染 / 熱的作用 / 移流分散 / 変形挙動 |
Outline of Annual Research Achievements |
サブテーマ(2)に関連し,40度と20度の温度の違いが自然由来重金属等の溶出挙動に及ぼす影響を飽和上向流のカラム通水試験によって評価した。試料には,実際の建設工事現場で得られた2種類の掘削土(掘削土1,掘削土2)を全量2 mm以下に粉砕し用いた。 As溶出濃度の最大値に着目すると,掘削土1では40度で最大0.53 mg/Lで20度の3倍程度の値となり,掘削土2では40土では最大4.0 mg/Lで20度の1.3倍程度の値となり,高温条件のほうがAsの溶出濃度は大きくなることを明らかにした。また,最大濃度となるピークのPVFが小さくなることから反応速度の増加も示唆された。一方で,本研究で行った試験条件の範囲では掘削土の酸性化には温度が影響しないことを明らかにした。 本研究では,高温条件ほどAsの溶出濃度が大きくなった一方で,pHは温度条件に関わらず同程度であった。仮にAsの溶出量がアルカリ性になるほど促進された場合,負に帯電したAsイオンの斥力で脱着が促進されたことが理由の一つとして考えられるが,本研究では上記のような傾向は確認されず,土粒子表面のpH変化に伴う静電引力による脱着反応ではなく,Asを含む鉱物の溶解が溶出に寄与した可能性が指摘される。 掘削土1, 2ともにAsの溶出プロファイルに対して逆解析を実施した結果,掘削土1ではAsの溶出機構は溶解によるものと推定され,高温条件ほど溶解に関わる係数が大きな値となった。掘削土2では拡散律速溶出に関わる係数と溶解に関わる係数の両方が溶出機構として推定され,高温条件ほど拡散律速による溶出の促進も推察された。掘削土1, 2ともに表面洗浄による溶出量は0と推定され,Asの溶出反応は即時反応ではなく比較的長期にわたり続くことが確認された。このように,拡散と溶解の影響を切り分けて評価した事例は過去に無く,新たな知見を付与したと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定通り,サブテーマ(1)「地盤材料の物理的・水理的性質の変化」と,サブテーマ(2)「地盤材料に含まれる汚染物質の溶出特性に及ぼす影響」について所要の成果を収めている。
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Strategy for Future Research Activity |
サブテーマ(1)「地盤材料の物理的・水理的性質の変化」では,難透水性材料を対象とした実験的検討を進める。サブテーマ(2)「地盤材料に含まれる汚染物質の溶出特性に及ぼす影響」では,存在形態に着目して溶出メカニズムの変化に対する考察を深める。サブテーマ(1)と(2)で得られた知見を総合して,サブテーマ(3)「熱―水―力学―化学連成挙動を考慮した物質輸送のモデル化」に取り組む。
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