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2021 Fiscal Year Annual Research Report

2MW大型風車ブレードとナセル内部機器に与える地形起因の乱流影響に関する実証研究

Research Project

Project/Area Number 21H01574
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

内田 孝紀  九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (90325481)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords風車ウエイク
Outline of Annual Research Achievements

2013年,日本国内で風力発電用の風車が破損する重大事故が続けて発生した.京都府伊根町の太鼓山風力発電所では,風車上部が折れてナセルと風車ブレードが地面に落下した.これまでに,日本国内において風車ナセルが地面に落下した事故は前例が無い.
これまでの我々の研究成果から,風車重大事故の主要な原因が,地形起因の「地形性乱流」であることが示された.風車近傍の地形起伏や地表面粗度の急変に起因した「地形性乱流」は,風車ブレードやタワー,ナセルを「振動」させ,金属疲労を著しく進展させるとともに,風車の発電出力にも多大な影響を与える.また,風車ブレードが回転する「風車ウエイク」に起因した「回転性乱流」も同様な影響を与える.こうした状況の中,「地形性乱流」と「回転性乱流」が複合した複雑な状況下では不明な点が多い.
本研究では,大型商用風車のブレードとナセル内部に歪ゲージを設置し,「地形性乱流」および「回転性乱流」と「風車振動(風車の疲労荷重)」との相関性を明確化する実証研究を行う.最終的に,風車ブレードおよびナセル内部機器に与える乱流影響に関する評価指標を策定する.
当該年度では,風車ブレードが回転する効果を表現する物理モデルを気流場計算へ組み込み,風車ブレードが回転することに伴い発生する乱気流の力学機構を解析することに成功した.さらに当初は予定していなかった風車の精密模型を製作し,これを当研究室が保有している大型境界層風洞内に設置し,気流計測および可視化実験を行うことに成功した.特に風車ウエイクの可視化実験では複雑な風車ウエイクの3次元構造を捉えることができ,数値流体シミュレーションの妥当性を検証するのに大いに役立った.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初予定していた風車ブレードが回転する効果を表現する物理モデルを気流場計算へ組み込み,風車ブレードが回転することに伴い発生する乱気流の力学機構を解析することに成功した点がまず挙げられる.また同時に当初は予定していなかった風車の精密模型を製作し,これを当研究室が保有している大型境界層風洞内に設置し,気流計測および可視化実験を行うことに成功したため,上記の概ね順調に研究は進展していると考えている.

Strategy for Future Research Activity

電力会社や風車メーカー,風力発電事業者の協力を得て,本研究で指摘する地形性乱流に伴うトラブルに遭遇した風車情報を入手し,その状況をコンピュータで忠実に再現する.上記で開発した技術に基づき,風車がいかに過酷な状況で稼働しているかを定量的に明らかにし,発電量低下や風車故障の原因となるウィンドリスクを特定する.さらに,それらのウィンドリスクの状況を,最新のコンピュータグラフィックス技術を用いて3次元気流場構造として立体的に視覚化する.
本研究では,(株)九電工が所有する鹿児島県の串木野れいめい風力発電所を対象に実証試験を行う予定である.既に交渉を行い,内諾を得ている.さらに本研究の遂行には,風車メーカーである(株)日立製作所の協力が不可欠であったが,こちらについても既に事前交渉を行い,内諾を得ている.(株)日立製作所には,歪ゲージ計測の実施および得られた実測データに基づく疲労荷重および構造強度の分析の協力を得る.さらに,(研究代表者が実施する)スーパーコンピュータによる大規模風況シミュレーションの結果を初期値・境界値とした,GH BLADEDによる空力弾性シミュレーションによる風車構造強度および疲労荷重の評価の協力を得る.最終的に,風車ブレードおよびナセル内部機器に与える影響に関する評価指標を策定する.
本研究では,具体的に風況に関する地形性乱流リスクに関する評価指標と,地形性乱流が風荷重として風車に与える評価指標の二種類の策定を計画している.風況と荷重に関する二種類の評価指標を同時に評価することで,より安全・安心な風車の導入計画や運用が実現する.

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] スパコン版リアムコンパクトによる風車ウエイクの相互干渉に関する大規模数値シミュレーションーウエイク領域内の平均風速欠損量の予測精度検証ー2022

    • Author(s)
      内田 孝紀,小野 謙二,飯田 明由,吉村 忍,加藤 千幸,山出 吉伸,今村 博,植田 祐子
    • Journal Title

      日本風力エネルギー学会論文集

      Volume: Vol.45 Pages: 71-82

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2022-12-28  

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