2022 Fiscal Year Annual Research Report
Determination of topological quantum numbers and search for novel electronic phases in Kitaev quantum spin liquid materials
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21H01793
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 顕一郎 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00634982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 理行 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80585159)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キタエフスピン液体 / マヨラナ粒子 / スピンゼーベック効果 / チャーン数 / 比熱 / マヨラナギャップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、キタエフ量子スピン液体物質において、マヨラナ粒子が発現する条件を明らかにし、さらにトポロジカル量子相を制御する実験手法を確立することである。そのためには、トポロジカル不変量(チャーン数)を実験的に決定することが必要不可欠である。すでに前年度までの研究により、キタエフスピン液体候補物質α-RuCl3において、磁場中比熱測定を12テスラ・ヘリウム3温度まで行うことで、マヨラナギャップの観測を通じて、チャーン数を実験に決定する手法を確立している(O. Tanaka et al., Nature Physics 18, 429-435 (2022))。 当該年度は、さらに極低温・高磁場領域での実験を可能とするために、14テスラマグネット付きの無冷媒希釈冷凍機に、ピエゾ素子で駆動する3次元回転機構(attocube社製atto3DR)を組み合わせた磁場角度回転比熱測定システムを構築し、α-RuCl3において、磁場をb軸方向に高精度に合わせ、比熱測定を行った。その結果、200 mKまでギャップレスな励起が観測されることを明らかにした。これは、マヨラナ励起の特徴的な磁場印加方向依存性を反映したものであり、本実験結果はα-RuCl3において、マヨラナフェルミオン励起が存在することを強く示唆するものである。 また、当該年度は、カイラル・マヨラナエッジ流をスピンゼーベック効果により検出するために、スピンゼーベック効果を低温まで測定できるシステムの構築を無冷媒12Tマグネットにおいて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
14Tマグネット付き無冷媒希釈冷凍機とピエゾ素子で駆動する3次元回転機構を組み合わせた磁場角度回転比熱測定システムを構築し、α-RuCl3において、マヨラナフェルミオン励起が存在することを強く示唆する実験結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
α-RuCl3に対して、スピンゼーベック効果の測定を行い、マヨラナ・カイラルエッジ流の検出を試みる。
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Research Products
(11 results)