2022 Fiscal Year Annual Research Report
光共振器による量子光学現象を利用したイオン伝導度の向上
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21H01899
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平井 健二 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (10754400)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 強結合 / 励起子ポラリトン / ラビ分裂 / 光共振器 |
Outline of Annual Research Achievements |
導電性材料はエレクトロニクスの根幹を支える材料群であり、これまでにも無数の導電性材料が報告されてきた。本研究では、光共振器を利用して、機能性材料の電子物性を向上させる技術を開拓する。光共振器の中では、分子遷移と光のコヒーレントな相互作用が起こり、強結合と呼ばれる状態となり、分子の物性が変化することが予測されている。光共振器に機能性材料を導入し、強結合を応用することで、機能性材料の電子物性の向上を目指した。 金属イオンと有機配位子の自己集合によって結晶性の多孔性材料である金属有機構造体(MOF: metal-organic framework)が得られる。2022年度は、MOFを強結合させることで、電子物性の向上を試みた。まず、SiO2板の片面に銀をスパッタリングすることで、可視光を反射するミラーを作製した。その反射ミラーの上でMOFを薄膜化した。MOF薄膜の上から、もう一つの反射ミラーが対向するように載せることで、MOF薄膜を2枚のミラーが挟む共振器構造をつくった。 光共振器セルで、MOFの分子遷移と共振器を強結合させると、光と励起子の混成状態である励起子ポラリトンが生成していることが確認された。励起子ポラリトンの移動度を評価すると通常の励起子よりも移動速度が向上していることが確認された。また、光共振器のミラー間の距離を変えると共振器モードの準位から外れるため、共振器と分子遷移は相互作用しなくなる。光との相互作用の強度を減少させていくと、移動度が減少していくことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光共振器を作成し、ターゲットとする分子遷移で強結合の状態を作り、励起子ポラリトンの生成を確認した。励起子ポラリトンの物性評価を行い、移動度が大きく異なることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
励起子ポラリトンの生成が確認できたため、今後は電子物性を含めた各種物性の変化を確認する。
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