2021 Fiscal Year Annual Research Report
Acceleration of the Development of Organic Reactions Based on the Fusion of Automatic Synthesis Robots and Information Science
Project/Area Number |
21H01924
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長田 裕也 北海道大学, 化学反応創成研究拠点, 特任准教授 (60512762)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 雄太 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (10846348)
田畑 公次 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (20814445)
辻 信弥 北海道大学, 化学反応創成研究拠点, 特任助教 (30873575)
小林 正人 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (40514469)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 自動有機合成 / 強化学習 / 機械学習 / 自動スペクトル解析 / 量子化学計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機合成研究において反応条件の最適化は極めて重要であり、研究遂行のためには多大な労力と時間を費やし続けている。本研究は、自動合成ロボットと量子化学計算によって得られる分子記述子を用いた強化学習を用いることで、反応条件の最適化を飛躍的に加速させることを目的としている。 2021年度の研究においては、自動合成ロボットにおける予備的有機合成実験を実施し、さらに実験結果の自動測定に取り組んだ。初期検討として、熱的フィスゲン環化付加反応と縮合剤を用いたアミド化反応に関する検討に取り組んだ。遷移金属触媒を用いずにフィスゲン環化付加反応を行った場合、1,4-付加体と1,5-付加体の混合物が得られ、これらの生成比は基質の構造に依存する。あらかじめ量子化学計算によって生成比の予測を行い、続いて自動合成ロボットを用いた合成実験と生成比の決定を行うことで両者の比較を行い、反応モデルの改良を行うことで、良い精度で生成比の予測を行う方法の開発に成功した。 また、縮合剤を用いたアミド化反応に関する検討では、種々のカルボン酸類とアミン類からアミド化合物を合成し、アミド類の構造と超臨界流体クロマトグラフィーでの保持時間の関係について検討を行った。超臨界流体クロマトグラフィーではポリブチレンテレフタレートがコーティングされたシリカゲルを固定相として用いたカラムを使用することで、迅速な分離分析を行うことができることを見出した。現在、アミド類の構造とその保持時間の相関について分子記述子を用いた解析を進めており、未知のアミド化合物の分析条件の推定が可能になるものと期待している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自動合成ロボットによる予備的な有機合成実験検討は順調に進行しており、量子化学計算・情報科学を用いた予測と実験化学による検証が進みつつある。特に、得られた測定データについて、情報科学分野のツールで扱いやすいテキストベースのデータへ変換し、ファイルサーバに自動的に蓄積することにも成功しており、今後の研究において情報科学的アプローチをより簡便に行うことができると期待される。 また、パラジウム触媒を用いた種々のカップリング反応についても自動合成ロボットを用いた検討を開始しており、予備的な成果を得つつある。以上より、本研究課題は概ね順調に進展しているものと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究においては、自動合成ロボットによる実験と測定に対して情報科学的アプローチを組み合わせることでフィードバック制御を行い、実験条件を自動的に最適化するシステムの開発を目指す。複数の反応点を持つ基質に対して反応を行い、その選択性を超臨界流体クロマトグラフィーを用いて測定し、反応条件を自動的に変化させることで、高選択性を示す反応条件へと最適化させることを計画している。この検討においては、従来用いられてきた分子記述子だけでなく、量子化学計算による遷移状態計算に基づいた記述子の利用が効果的であると考えており、新たな記述子の開発についても精力的に進める。また、成果公開の際にはネガティブデータを含めた全データの公開を計画しており、文献情報に基づいた情報科学的解析の際に問題となっていた、成功データ側への偏りを解消していくものと期待している。
|
Research Products
(2 results)