2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H01965
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
犬飼 宗弘 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (60537124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香川 晃徳 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (70533701)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 固体NMR / 動的核偏極 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は、機能性材料や生体分子の超高感度・高分解能NMRスペクトルを室温で取得できる手法・装置開発と応用である。今年度に実施した内容は、A. 生体分子の超偏極を可能とする手法の開発、およびにB.高分解能トリプレットDNP NMR装置の開発である。 具体的には、Aに関しては、2種類の分子がそれぞれの結晶相を持ちながら混合する共晶法に注目し、クエン酸回路の一部であるコハク酸、糖の一種であるエリスリトール、また薬の一種であるカフェインなどの室温超偏極に成功した。それぞれの試料のNMR信号に対して100倍を超える感度増幅を確認した。そして、超高速MAS NMRを用いて、偏極移動の機構解明を試みた。2次元交換NMRにより、偏極源を含む偏極相から、ターゲット分子を含む相への磁化移動が確認できた。50nm以下の小さなドメインを有していることが、固体NMRにより明らかになり、効率良く偏極がターゲット分子へ移動しているがわかった。 Bに関しては、室温超偏極試料を高分解能で測定できる装置(特殊試料管とNMRプローブ)を開発した。電磁石で試料を室温超偏極した後、超伝導磁石に高速移動し、超伝導磁石内で試料の高速回転が可能とした。実際に、試料を電磁石から1秒以内に超伝導磁石内に移動させることに成功した。両磁場間に存在する隙間(低磁場区域)を一瞬で移動することで、低磁場による縦緩和を減らすことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分解能トリプレットDNP NMR装置に関しては、両磁場間に存在する低磁場区域を一瞬で移動することで、低磁場による緩和を減らすことに成功した。しかし高分解能に必要な試料管の高速回転が安定して行うことができなかったため、高分解能スペクトル取得のデモンストレーションの一部は、未達成である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、材料合成と装置開発の両面から、本研究を進めていく。 材料合成に関しては、クエン酸回路を中心とした代謝に関わる分子の室温DNPに取り組んでいく。装置開発に関しては、申請書に沿って、室温DNPと高速回転を実現するプローブ開発を引き続き進めていく。
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Research Products
(3 results)