2022 Fiscal Year Annual Research Report
Broadband plasmon-induced charge separation and hydrogen generation dynamics
Project/Area Number |
21H02051
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
古部 昭広 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 教授 (30357933)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光触媒 / プラズモン / 電荷分離 / ダイナミクス / 半導体薄膜 / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
可視光及び近赤外光を効率よく吸収する金ナノ構造配列体と電子アクセプター半導体である酸化チタンや遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)2次元材料を積層したプラズモン誘起電荷分離システムを作製し、フェムト秒過渡吸収分光法によるキャリアダイナミクスの詳細な解明研究を行うことが第1の目的である。さらに、水素発生助触媒への電子移動ダイナミクス、それに続く水素バブルダイナミクスの定量的評価を初めて実現することが第2の目的である。特に電子アクセプター層の ナノ薄膜化によりこれまで量子効率が低いままであったエネルギー変換効率の飛躍的上昇を目指す。 該当年度は、原子層体積法で、金ナノ粒子配列体を配置したガラス基板上に膜厚範囲10~200 nmの異なる酸化チタン薄膜を作製した。さらにその上に金薄膜を蒸着した。金ナノ粒子配列体の吸収スペクトルは酸化チタン薄膜および金薄膜との誘電的相互作用により長波長にシフトし、可視域全体を強く吸収する光学応答を示した。酸化チタン薄膜の結晶構造をラマン分光法で調べたところ膜厚に依存して異なる結晶相が成長していることが分かった。この様な特性とキャリアダイナミクスの関係性を知るためにフェムト秒過渡吸収分光法で伝導電子の生成・減衰過程を解析する計画であったが装置トラブルで実施出来なかった。金ナノ粒子配列基板上にTMDC材料の硫化タングステンのナノシート分散溶液を滴下することにより、可視光を強く吸収する複合膜を作製することが出来た。ラマン分光スペクトル強度の解析から、金ナノ粒子と硫化タングステンナノシート間に電場増強相互作用が働いていることが分かった。今後、電荷分離ダイナミクスとの関係を明らかにする計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度(R3)にフェムト秒過渡吸収分光装置の光源である増幅チタンサファイアレーザーのオシレーターのリプレイスを行う予定であったが、増幅装置にも不具合が生じ、増幅チタンサファイアレーザーを継続して利用することが困難となった。そのため、全く新しい増幅フェムト秒ファイバーレーザー光源を導入する計画に切りかえ、実際本年度2月に納品が完了した。これにより、プラズモン誘起電子移動反応のダイナミクスを評価する実験に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
可視光及び近赤外光を効率よく吸収する金ナノ構造配列体と電子アクセプター半導体である酸化チタンを積層したプラズモン誘起電荷分離システムを作製する課題については、原子層堆積装置を利用した酸化チタン膜の作製のノウハウをある程度獲得できたので、今後フェムト秒過渡吸収分光測定によってキャリアダイナ ミクスを解明し、最適な薄膜構造の設計にフィードバックする。異なる電子アクセプターとして遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)2次元材料である硫化タングステンのナノシートを利用した金ナノ構造配列体との複合基板の作製にも成功したので、その光触媒特性とキャリアダイナミクスの評価と反応メカニズムの解明研 究を進める。 新たに導入したフェムト秒ファイバーレーザーを用いた過渡吸収分光システムの開発と並行して、他研究者の過渡吸収分光システムを使用したキャリアダイナミクス測定も行い全体計画の遅延を抑えるようにする。半導体薄膜表面での水素発生助触媒への電子移動ダイナミクス、それに続く水素バブルダイナミクスの定量的評価を実現する課題の実施に向けて、上記の金ナノ構造配列体上の電子アクセプター半導体の表面に白金を担持した積層基板試料の作製を進める。水素発生を実現できる試料が完成した後に、そのダイナミクス、つまり反応の時間スケールを時間分解光散乱検出法で評価し、最終的にこれまで量子効率が低いままであったエネルギー変換効率の飛躍的向上を実現するデバイス構造を提案する。
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Research Products
(15 results)