2021 Fiscal Year Annual Research Report
The molecular basis for germ cell development in teleost fish
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21H02277
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西村 俊哉 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (10758056)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 不妊化 / 生殖細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、魚類における生殖細胞の分子基盤を明らかにし、魚類で汎用的に利用可能な不妊化技術を確立することである。そこで2021年度は、CRISPR-Cas13dシステムを用いた遺伝子ノックダウンの効果の確認と生殖腺へ到達する前の生殖細胞(PGC)の遺伝子発現プロファイルを得た。 CRISPR-Cas13dシステムをにおけるgRNAの設計方法、ターゲットmRNAへの結合部位のミスマッチの許容について調べた。哺乳類の研究を元に開発されたgRNA設計ツールであるCas13 design(https://cas13design.nygenome.org/)を用いることで、メダカにおいてノックダウン効果のあるgRNA(23nt)を設計できることが明らかとなった。生殖顆粒因子であるnanos3及びdnd1をターゲットするgRNAを3つずつ設計したところ、nanos3では3つ、dnd1では2つのgRNAに、ほぼ100%の効率で生殖細胞を欠損できるノックダウン効果があることが分かった。またgRNAに、stem loop側から17~20番目の塩基に2塩基のミスマッチを入れると著しくノックダウン効果が落ちることから、23ntのgRNAを用いた場合、この領域にシード配列があると考えられる。さらに、上記と同様のgRNAの設計方法で、産業重要種であるサケ科魚類においても、dnd1をターゲットするgRNAによって生殖細胞を欠損させることに成功した。 生殖細胞形成に必要な分子基盤を明らかにするために、生殖腺へ到達する前の生殖細胞(PGC)をセルソーターで分取し、そこから得られた微量RNAを用いて、RNAseqによる遺伝子発現プロファイルを得た。現在、リアルタイムPCR及びin situ hybridizationによる遺伝子発現の調査を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CRISPR-Cas13dシステムがメダカだけでなく、サケ科魚類でも有効であることを示し、さらに、セルソーターで分取した少数のPGCから遺伝子発現プロファイルを得ることができた。これらのことは、CRISPR-Cas13dシステムを用いた不妊化技術確立のための重要な基盤となる。当初予定していたDND1との相互作用するmRNAの同定は達成できなかったため、2022年度の目標とする。
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Strategy for Future Research Activity |
PGCの遺伝子発現プロファイルをもとに網羅的なノックダウンスクリーニングを行う予定であるが、候補となる遺伝子が多数あるため、生殖細胞形成に必須なDND1タンパク質と相互作用するmRNAを同定することで、さらなる絞り込みを行う。PGCで高発現を示し、かつ、DND1と相互作用する遺伝子をノックダウン候補遺伝子としてスクリーニングを行う。 また、gRNAのstem loop部位に改変を加えることで、ノックダウン効率が上昇するという報告があるため、魚類に最適なstem loopを決定することがもう一つの目標である。そのために、ノックダウン効率の悪いgRNAのstem loop部位を改変することで、生殖細胞の欠損効率が上昇するのかを調査する。
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Research Products
(5 results)