2021 Fiscal Year Annual Research Report
Inorganic carbon fixation ability by nitrifying bacteria in carbon-depleted soil - elucidation of its control factors
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21H02324
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
内田 義崇 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (70705251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
龍見 史恵 北海道大学, 農学研究院, 特別研究員(PD) (30883417)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 硝化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、農地土壌の生産性や肥沃度は有機態炭素量に依存するが、過剰な施肥や耕起によって有機態炭素が欠乏した土壌「有機態炭素欠乏土壌」が生成されることが世界的な問題となっていることを背景としている。劣化した土壌を省力的に回復させる技術が緊急に必要とされている中で、無機態炭素(二酸化炭素(CO2))を有機態炭素として固定する独立栄養微生物である硝化細菌・古細菌(硝化菌)に着目した研究を行った。本年度は、有機態炭素欠乏土壌で微生物量は減少するが硝化菌が逆に増加・多様化している現象を踏まえ、その傾向から予測メタゲノム法を用いて無機態炭素固定遺伝子の量的変化を調べる試験を行った。硝化菌が持つ無機態炭素固定遺伝子はccbLとして知られており、その相対的な量をバクテリアの種から推定することができた。さらに、硝化菌の活性と多様性、アンモニア施肥回数の関連性を調べる試験も行い、アンモニア繰り返し施肥によって起きる硝化菌活性の程度が土壌微生物多様性と正の相関がある可能性を示唆するデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予測メタゲノム法を用いて無機態炭素固定遺伝子の量的変化を調べる試験においては、ザンビア、ケニア、マラウイの農地土壌や自然生態土壌(炭素量が平均1%程度の炭素欠乏土壌)を対象にした。その結果、土壌中の全炭素量と全バクテリア中の無機態炭素固定遺伝子量に負の相関が見られた。このことは、本研究で仮定した炭素欠乏状態の土壌で無機態炭素固定が重要な役割を担っているという推定を支持する。さらに、硝化菌の活性と多様性、アンモニア施肥回数の関連性を調べために、土壌をガンマ線を用いて滅菌し、そこに多様性を段階希釈を用いて変化させた土壌抽出液中微生物を接種する実験を行った。その結果アンモニア繰り返し施肥によって起きる硝化菌活性の程度は土壌微生物多様性と正の相関があるが、硝化を担う2つのグループ(AOB、AOA)によってその傾向は大きく異なることが明らかになった。具体的には、AOBはあまり希釈していない多様な土壌微生物溶液を接種した土壌において、繰り返し施肥に反応し活性化する傾向があったが、AOAに関しては希釈倍率に関係なく繰り返し施肥への反応が乏しい傾向を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
無機態炭素固定に関しては、今回のデータはサブサハラアフリカ数か国に限られていたため、既存のデータベースから炭素欠乏土壌中微生物についてのデータを得て再解析し、今年度の研究で明らかになった、炭素欠乏と無機態炭素固定遺伝子の相関が他の国でも見られるのかを調査する。さらに、硝化菌の炭素固定を直接的に測定することを目指した試験も行う。さらに、硝化菌の活性と多様性、アンモニア施肥回数の関連性に関しては、硝化に関わる遺伝子であるamoAがどの微生物に由来するのかを次世代シーケンサを用いて調べ、微生物全体の多様性が減少すると、なぜアンモニア繰り返し施肥に対する硝化菌の活性化が起きにくくなるのかを明らかにしていく。
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Research Products
(4 results)