2022 Fiscal Year Annual Research Report
情報通信技術を応用した光学的大規模膜電位計測法の開拓
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21H02437
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三上 秀治 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (60754976)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高速イメージング / 蛍光顕微鏡 / 多光子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は生体試料の計測のための環境構築を行うとともに、多重検出方式の検討を前年度に引き続き行った。生体試料計測としてマウス脳皮質の計測を想定し、マウスの飼育環境や手術から観察までの一連の作業に要する機材の整備を行い、in vivoでの神経活動計測が可能な環境を整備した。加えて、方式検討の基盤となる多光子顕微鏡もマウス観察向けに新規に設計、構築を行い、前年度に構築した装置とあわせて、様々な生体試料を用いた評価基盤が構築できた。多重化方式としては主として時分割多重方式の検討を行い、前年度に検討した周波数分割多重との比較を試みた。基礎的な検討として時分割多重は前年度に用いたものと同じ高速な空間光変調器による集光パターンの逐次的な切り替えにより実装した。このため、時定数の評価に必要な装置の特性は前年度に評価済みのものを用いた。動作確認としては3つの直径10 μmの蛍光ビーズを用い、周波数分割多重の実験と同様に明視野画像の画像処理により特定した各ビーズの座標に逐次的にパルスレーザーを照射し、取得した信号波形から各蛍光の強度を計測することができた。本検討では時分割多重方式のみの実装のため逐次的な検出(ランダムアクセス顕微鏡と呼ばれるものに相当)を行ったことになるが、実際は周波数分割多重等の他方式との組み合わせが可能である。このことを見越して各ビーズあたり1点の測定ではなく、周辺の複数点の測定により蛍光ビーズの座標を検出する動作も併せて試み、1秒あたり1 μmのステップで移動させた蛍光ビーズを(明視野画像の情報を用いることなく)追跡することができた。このような動作は計測対象が移動する場合に有効であり、特に通常の撮像に長時間を要する3次元計測において有効であると見込まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り生体試料計測の環境構築および多重検出方式の検証が進んでおり、複数の多重検出方式の検証を行ったため順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで検討してきた多重検出方式の取捨選択もしくは組み合わせの検討を行い、生体試料の環境に応じて適切な方式の選択およびパラメータの調整を行う。特に、実際の膜電位色素もしくは膜電位応答性蛍光タンパク質の特性を評価し、検討に組み込むこととする。
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Research Products
(5 results)