2021 Fiscal Year Annual Research Report
Immunopathology of visceral leishmaniasis
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21H02722
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 康之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (50553434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 渉 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40708161)
片岡 直行 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60346062)
山岸 潤也 北海道大学, 人獣共通感染症国際共同研究所, 准教授 (80535328)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リーシュマニア / 貧血 / 血球貪食 |
Outline of Annual Research Achievements |
内臓型リーシュマニア症(VL)はリーシュマニア原虫の感染により引き起こされる人獣共通感染症である。本症の化学療法はさまざまな問題点を抱えており、宿主免疫を適切に調節することで効果を発揮する免疫療法は新たなVLの治療法として期待される。一方、発熱、貧血、肝脾腫といったVLの症状が免疫応答に起因することから、不適切な免疫刺激による逆効果も予想される。つまり、VLに対する効果的な免疫療法の確立にはその感染・発症機序を詳細にとらえる必要がある。本研究では、発生工学を駆使したマウスモデルと、ヒト患者やイヌ由来材料を用いた解析を有機的に組み合わせることで、VLにおける病態免疫を明らかにし、症状の改善を促す免疫療法の開発を目指している。 2021年度は特に貧血の原因となる脾臓での血球貪食に焦点を当てて研究を進めた。血球貪食が亢進する感染マウスの脾臓では多核化マクロファージ(MGC)の出現が顕著になる。そこで本年度はin vitroにて感染誘導性マクロファージ多核化現象の構築を行った。その結果、L. donovani感染によって引き起こされる多核化はGM-CSFなどのサイトカインによって誘導される多核化とは異なり、血球貪食能力を特に引き上げることが明らかとなった。感染マウスでの血球貪食が肝臓では見られず脾臓で見られることから、感染臓器トランスクリプトーム解析により脾臓のみで上昇する遺伝子の探索を行ったところ、その一つがin vitro誘導MGCでも顕著に上昇することが明らかとなった。プラスミドを用いてマクロファージにその遺伝子を過発現させたところ、感染なしでもマクロファージの多核化が誘導された。つまり、原虫感染による当該遺伝子発現の上昇は、血球貪食型のMGCを誘導することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述のとおり、2021年度はin vitroにて感染誘導性マクロファージ多核化現象の構築に成功し、また感染誘導性血球貪食型MGCの形成に関与する因子の同定にも成功した。現在この成果については論文投稿準備中である。これに加えて、肝腫の病態形成メカニズムについて挙げた成果について論文による成果報告を行った。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
上記、血球貪食型MGCの誘導に関わる遺伝子は、これまでの研究において細胞の多核化に関与することが示されているものの、細胞の種類によって発現誘導メカニズムや下流シグナルに違いが多く、明確な経路は十分に分かっていない。また、多核化した細胞という定義のMGCの中でも血球貪食型のものは原虫感染に特徴的である一方、遺伝子発現パターンなどにおいて他のMGCとの違いについては十分に解明できていない。2022年度はin vitro感染誘導性MGCのトランスクリプトーム解析やシグナル伝達経路解析を行い、原虫感染が自己―非自己認識の破綻につながるメカニズムを明らかにする。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Autochthonous <i>Leishmania infantum</i> in Dogs, Zambia, 20212022
Author(s)
1.Squarre D, Chambaro HM, Hayashida K, Moonga LC, Qiu Y, Goto Y, Oparaocha E, Mumba C, Muleya W, Bwalya P, Chizimu J, Chembensofu M, Simulundu E, Mwasinga W, Banda N, Mwenda R, Yamagishi J, Nalubamba KS, Banda F, Munyeme M, Sawa H, Fandamu P
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Journal Title
Emerging Infectious Diseases
Volume: 28
Pages: 888~890
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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