2022 Fiscal Year Annual Research Report
Generation of neuroblastoma patient-derived PDX library covering all subtypes
Project/Area Number |
21H02880
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅田 雄嗣 京都大学, 医学研究科, 講師 (80397538)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧本 哲也 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 研究所小児がん疫学臨床研究センター, 室長 (40393178)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 神経芽腫 / 異種移植モデル / 免疫不全マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、強力な集学的治療を施行しても依然として予後不良な難治性神経芽腫に対して、個々の患者の分子病態に立脚した新規治療薬の開発と実用的なin vivo薬剤スクリーンニングが実現可能な患者由来異種移植(PDX)モデルを作成することを目的とする。 全国の医療機関が参加する日本小児がん研究グループ(JCCG)を母体とした小児固形腫瘍観察研究の付随研究として、前向き観察研究「神経芽腫患者由来異種移植ライブラリーの構築」を2021年6月より開始した。研究開始から約1年9ヶ月が経過した時点で、研究参加を希望した55施設中38施設で施設承認が得られた。11施設から19症例の神経芽腫の新鮮腫瘍組織が提供され、得られた腫瘍組織は順次免疫不全マウスに移植してPDXマウスの樹立を進めている。また、生着した腫瘍の表現型解析及びサブグループの特定に向けて、残余腫瘍及び正常血液の保存を継続して実施している。 ALK遺伝子異常は神経芽腫の約8から10%に認められ、この異常を有するサブグループは予後が極めて不良である。標準的な化学療法及びALK阻害剤に治療抵抗性を示した再発神経芽腫症例の検体を用いた網羅的遺伝子解析により、初発時・増悪時検体から新規のBEND5-ALK融合遺伝子、増悪時検体からFGFR1遺伝子変異を同定した。この患者の増悪時検体よりPDXマウスを樹立し、シングルセルRNAシーケンスを含めたマルチオミックス解析によるALK遺伝子異常を有する神経芽腫の治療抵抗性クローンの出現形式およびALK阻害剤耐性機序の獲得メカニズムの解析、及び新規ALK阻害剤や他の分子標的薬の併用療法のin vivo薬剤感受性試験などを進めていく。さらに他のサブグループにおいても分子標的薬を用いたin vivo薬剤感受性試験を進めていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本小児がん研究グループ(JCCG)を母体として、難治神経芽腫症例の患者より収集した検体を免疫不全マウスに移植してPDXライブラリーを構築する多施設共同研究の症例登録を2021年6月より開始した。研究開始から約1年約9ヶ月が経過した時点で、参加を希望した55の研究協力施設のうち38施設で倫理委員会の承認が得られ、11施設から19症例の神経芽腫の新鮮腫瘍組織が提供された。開始から約2年時の症例集積ペースとしてはやや遅れているため、研究協力施設に研究内容(再発症例も対象であることなど)の周知を徹底して症例リクルートを促進していく。得られた腫瘍組織は順次免疫不全マウスに移植してPDXマウスの樹立を進めており、現時点では2症例でマウスへの生着が確認されている。また、生着した腫瘍の表現型解析及びサブグループの特定に向けて、残余腫瘍及び正常血液の保存を継続して実施している。 化学療法及びALK阻害剤に治療抵抗性を示した再発神経芽腫症例の検体を用いた網羅的遺伝子解析により、初発時よりBEND5-ALK融合遺伝子を有し、増悪時からFGFR1遺伝子変異を獲得したことが判明した。この患者の増悪時検体を免疫不全マウスに移植し、生着した腫瘍と生検腫瘍の病理検査により、病理学的特徴が維持されていることを確認した。現在、マイクロアレイまたは次世代シークエンサーを用いた遺伝子検査による生着した腫瘍と生検腫瘍の遺伝学的特徴の確認を進めている。また、今年度に実施する予定であるシングルセルRNAシーケンスを含めたマルチオミックス解析やin vivo薬剤感受性試験に向けて、マウスへの移植を継続してPDX細胞を増殖している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度も症例登録を継続して全国の医療機関から神経芽腫の新鮮腫瘍組織をさらに収集して免疫不全マウスに移植し、PDXライブラリーを構築していく。 摘出された腫瘍と抽出したゲノムDNA・メッセンジャーRNA及びPDXマウス内で複数回生着が確認された腫瘍の一部を主たる研究機関に集約し、病理検査(HE染色、免疫染色、FISH法など)、マイクロアレイまたは次世代シークエンサーを用いた遺伝子検査(ゲノムコピー数解析、全エクソンシーケンス、全ゲノムシーケンスなど)を行う。これらの検査データにより、元の腫瘍の病理学的及び遺伝学的特徴が維持されているかを確認するとともに、小児固形腫瘍データセンターからPDXライブラリー管理部門に提供された臨床情報と照合して解析し、サブグループを特定する。 さらに、化学療法及びALK阻害剤に治療抵抗性を示すBEND5-ALK融合遺伝子陽性神経芽腫のPDX細胞を継続して移植して増殖し、シングルセルRNAシーケンスを含めたマルチオミックス解析によりALK遺伝子異常を有する神経芽腫の治療抵抗性クローンの出現形式およびALK阻害剤耐性機序の獲得メカニズムなどを詳細に解析していく。また、腫瘍が生着したマウスに新規ALK阻害剤の単独投与やALK阻害剤とFGFR阻害剤の併用投与を行い、腫瘍サイズの継時的変化や遠隔転移の有無などを解析する。複数回の生着が確認できたPDXマウスについてはメタボローム解析などを用いた新規治療標的の探索、いくつかのサブグループで有用性が報告されている分子標的薬(ALK阻害剤、PARP阻害薬など)を用いたin vivo薬剤感受性試験を進めていく。
|
Research Products
(2 results)
-
[Presentation] 共通の細胞起源から生じた,FGFR1変異/増幅を有する神経芽腫/褐色細胞腫の複合腫瘍2022
Author(s)
田坂 佳資, 上野 浩生, 山崎 夏維, 奥野 高裕, 磯部 知弥, 木村 俊介, 梅田 雄嗣, 原 純一, 小川 誠司, 滝田 順子
Organizer
第125回日本小児科学会学術集会
-