2021 Fiscal Year Annual Research Report
Biological action of PTH/PTHrP on bone-specific blood vessels and osteo-vascular interaction
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21H03103
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
網塚 憲生 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (30242431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 智香 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (50739349)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / 骨特異的血管 / PTH / PTHrP / 骨血管連関 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、副甲状腺ホルモン(PTH)、または、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)が、骨芽細胞系細胞、あるいは、血管内皮細胞や血管平滑筋細胞への作用の解明を目標としている。PTH/PTHrPが骨形成促進作用を有する一方、研究代表者らはPTH/PTHrPが骨の血管にも作用し、血管周囲にalpha smooth muscle actin(αSMA)陽性・alkaline phosphatase(ALP)陽性・c-kit陽性が増加することを報告してきた。このことは、PTH/PTHrPは骨芽細胞と血管への両極性の作用を有する可能性を示唆する。一方で、Gli1が未分化間葉系細胞のマーカーとなり得ることを利用して、PTH/PTHrPで増加する血管周囲細胞ならびに骨芽細胞系細胞は、Gli1陽性未分化間葉系細胞由来なのか、それとも、異なる由来なのか検索した。そのモデル動物として、Gli1-CreErt2マウスとRosa26-loxP-stop-loxPtdTomatoマウスを交配してタモキシフェン投与依存的にGli1陽性細胞がtdTomato蛍光蛋白質を発現する成獣期の遺伝子改変マウス(Gli1-CreErt2:Rosa26-tdTomatoマウス)を作成した。その結果、正常状態では、Gli1/tdTomato陽性未分化間葉系細胞は成長板直下の骨幹端部にわずかに観察され、特に、成長板直下の骨梁間に存在することが明らかとなった。一方、PTH投与(2週間)タモキシフェン投与(2日間)すると、tdTomato陽性・αSMA陽性細胞(血管周囲細胞)、および、tdTomato陽性・ALP陽性細胞(骨芽細胞系細胞)はその数を増加させること、また、分布の範囲が血管側および骨芽細胞側と広がる傾向が認められた。このことは、PTH/PTHrPはGli1陽性を示す未分化間葉系細胞に作用し、細胞増殖を亢進させるとともに、血管周囲細胞ならびに骨芽細胞系細胞の両方への分化経路を促すことが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PTHまたはPTHrPはテリパラチドおよびアバロパラチドとして、骨芽細胞系細胞へのanabolic作用ばかり注目されてきた。しかし、研究代表者らはPTH/PTHrPが骨の血管にも作用することを報告しており、このことは、PTH/PTHrPは骨芽細胞ばかりでなく血管系に対しても作用する可能性が推察される。そこで、PTH/PTHrPは成熟した骨芽細胞や血管に作用するのか、それとも、骨組織の中に存在する未分化間葉系細胞に作用することで細胞増殖を促進し、また、骨芽細胞や血管へと分化してゆくのかを解明する必要が考えられた。本研究成果では、Gli1-CreErt2マウスとRosa26-loxP-stop-loxPtdTomatoマウスを交配し、タモキシフェン投与でGli1陽性細胞がtdTomato蛍光蛋白質を発現する遺伝子改変マウス(Gli1-CreErt2:Rosa26-tdTomatoマウス)を作成した。その結果、PTH+タモキシフェン投与すると、Gli1陽性未分化間葉系細胞はその数を増やし、血管周囲細胞、および、骨芽細胞系細胞に分化していることが明らかとなった。このことは、PTH/PTHrPはGli1陽性を示す未分化間葉系細胞に作用し、細胞増殖を亢進させるとともに、血管周囲細胞ならびに骨芽細胞系細胞の両方への分化経路を促すと考えられる。よって、従来、PTH/PTHrPは骨形成因子として考えられてきたが、単にそれだけでなく、骨組織内の未分化間葉系細胞に作用することで、骨・血管を含めて、様々な細胞種に分化させるという新しい観点が芽生えたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の研究成果では、Gli1陽性未分化間葉系細胞は、PTH/PTHrP作用によって細胞増殖し、血管周囲細胞あるいは骨芽細胞系細胞への分化が誘導される可能性が推察された。さらに、PTH/PTHrPが骨組織以外にも血管数、ならびに、αSMA陽性血管平滑筋細胞の増加を誘導するか確認したところ、少なくとも腎臓、肝臓、大動脈ではそのような現象は観察されなかった。従って、他の組織ではなく、骨組織に存在するGli1陽性未分化間葉系細胞がPTH/PTHrPに反応して血管周囲細胞あるいは骨芽細胞系細胞へ分化する潜在性を有すると考えられる。今後、Gli1陽性細胞はどこに存在しており、PTH投与後にどのように分布してゆくのか、ダイナミックな観点から検索する必要があげられる。従って、今回はPTH投与2週間であるが、PTH投与2日の初期時点でのGli1陽性細胞の局在を明らかにする必要がある。また、PTH投与初期(2日間)ならびに2週間後のGli1陽性細胞の詳細な細胞局在や細胞内小器官の発達、また、CXCL12-abundant cell(CAR cell)などとの分布の違いなどを検索することで、PTH/PTHrPシグナルがどのようなGli1陽性未分化間葉系細胞に作用するのかを明らかにする必要があると考えられる。
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[Journal Article] Characterization, pharmacokinetics, and pharmacodynamics of anti-Siglec-15 antibody and its potency for treating osteoporosis and as follow-up treatment after parathyroid hormone use.2022
Author(s)
Tsuda E., Fukuda C., Okada A., Karibe T., Hiruma Y., Takagi N., Isumi Y., Yamamoto T., Hasegawa T., Uehara S., Koide M., Udagawa N., Amizuka N., Kumakura S.
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Journal Title
Bone
Volume: 155巻
Pages: 116241-116241
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Histological observation on the initial stage of vascular invasion into the secondary ossification of murine femoral epiphyseal cartilage.2021
Author(s)
Hashimoto K., Hasegawa T., Yamamoto T., Hongo H., Yimin, Abe M., Nasoori A., Nakanishi K., Maruoka H., Morimoto Y., Kubota K., Shimizu T., Haraguchi M., Takahata M., Iwasaki N., Li M., Fujisawa T., Amizuka N.
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Journal Title
Biomedical Research
Volume: 42巻4号
Pages: 139-151
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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