2021 Fiscal Year Annual Research Report
重症筋無力症に対する薬物療法の最適化:タクロリムス個別化療法の確立
Project/Area Number |
21H04208
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 将太 京都大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | タクロリムス / 重症筋無力症 / 血中濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症筋無力症の治療はステロイドが主体で中等量以上の内服の長期化を招きやすいことから、副作用発現が課題となる。タクロリムスは臨床症状の改善、ステロイドの減量および副作用の軽減目的に併用されるが、有効血中濃度域に関する情報は乏しい。また、保険診療においては、重症筋無力症に対して1日最大投与量が3mgと定められているため、実際には血中濃度が低い症例も散見される。 そこで本研究では、タクロリムス血中濃度と有効性評価項目(MGFA分類、QMGスコア、MM-5mg達成率や抗AChR抗体価、経口ステロイド投与量)及び安全性評価項目(白血球数、好中球数等の血液検査結果、感染症や耐糖能異常、筋痙攣などの有無)との関連を解析することで、 重症筋無力症において、固定用量ではない至適投与量設計を確立することを目的とした。 当院でタクロリムス投与中の重症筋無力症患者を対象に各項目について電子カルテより抽出した。 各患者のタクロリムス平均血中濃度を濃度別に2群に分け、抗AChR抗体価、経口ステロイド投与量の経時的変化について比較検討を行ったところ、両群とも抗AChR抗体価、経口ステロイド投与量は有意に減少した。経口ステロイド投与量の減少率については低濃度群に比べ高濃度群が有意に大きかった。タクロリムス平均血中濃度を高濃度に維持することで高い臨床効果が得られる可能性が示唆されたことから、タクロリムス併用開始後長期間の有効性評価項目の関連性を解析中である。また、タクロリムス血中濃度に影響を与え得る血液検査結果や併用薬との相互作用の有無、食事・排便状況も考慮した上で今後も引き続き薬物治療効果並びに副作用発現頻度との関連性を解析する予定である。
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