2021 Fiscal Year Annual Research Report
DOAC-Stop処理による薬剤除去がもたらす各種凝固検査への影響の検討
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21H04267
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
尾崎 裕子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | DOAC-Stop / 凝固波形解析 / 凝固検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はDOAC-Stop処理による血漿中の抗凝固薬の除去効果と、処理後の凝固検査への影響、及び処理前後の血漿の比較による抗凝固療法 のモニタリングへの応用可能性を検証し、臨床検査におけるDOAC-Stopの有用性と限界を明らかにすることである。 各種抗凝固薬(4種のDOACを含むアンチトロンビン非依存性薬剤およびアンチトロンビン依存性薬剤)の添加血漿を対象に、検体の濁度変化による凝固反応曲線に基づいて検出する凝固時間(APTT、PT)ならびにその逐次微分に基づく凝固波形解析(CWA)の各種パラメータ(最大凝固速度;Max1、最大凝固加速度;Maxp2、最大凝固減速度Maxn2等)へのDOAC-Stop処理の効果検証を行った。 アンチトロンビン非依存性薬剤については、既報のように濃度依存的凝固時間の延長効果がDOAC-Stop処理により消失した。CWAでは最大凝固速度や最大凝固加速度の濃度依存的減少効果が消失した。しかし、薬剤無添加血漿のDOAC-Stop処理によってそれらのパラメータの低下が認められ、低濃度域では薬剤除去にもかかわらず凝固抑制を示唆する奇異な結果が得られた。DOAC-Stopは抗凝固薬だけではなく他の物質も非特異的に吸着除去するため、血漿の濁度低下をまねきパラメータの低下につながると考えられた。透過光量変化を補正したCWAでは、薬剤無添加血漿におけるDOAC-Stop処理の有無差は消失し、検討した全濃度域を通じてDOAC-Stop処理後の検体のパラメータの方が上回った。CWAに関する報告はこれまでになく、新規の知見となった。 アンチトロンビン依存性薬剤については、既報がある未分画ヘパリンと低分子ヘパリンに加えて、フォンダパリヌクスもDOAC-Stop処理で除去されないことを凝固時間とCWAの検討によって新規に確認できた。
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