2022 Fiscal Year Annual Research Report
Constructing a new historical materials study by accumulating fragmentary historical material information and cross-referencing historical knowledge information
Project/Area Number |
21H04356
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 友広 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (90376640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 雄基 立教大学, 文学部, 教授 (00726573)
守田 逸人 香川大学, 教育学部, 教授 (10434250)
深川 大路 同志社大学, 文化情報学部, 准教授 (10442518)
井上 聡 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (20302656)
三輪 眞嗣 神奈川県立金沢文庫, 学芸課, 学芸員 (30829297)
高橋 悠介 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 教授 (40551502)
貫井 裕恵 神奈川県立金沢文庫, 学芸課, 学芸員 (40782868)
山田 太造 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (70413937)
堀川 康史 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (80760280)
中村 覚 東京大学, 史料編纂所, 助教 (80802743)
高田 智和 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, 教授 (90415612)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | 古文書学 / 断簡 / 墨映 / 逸失史料 / レポジトリ / システム連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、計画調書に記した4つの観点から研究を進めた。 ①断片化した史料を対象とする調査情報の高度化研究では、史料の体裁情報・テキスト情報に関する構造化研究を進めるとともに、メタ情報を緻密に記述するため、史料編纂所歴史情報処理システム(SHIPS)にあった「翻刻支援システム」の機能刷新を全面的に実践し、「史料情報統合管理システム」との有機的連携の構築を進めた。 ②蓄積された知識情報の参照によるテキスト解析の高度化研究においては、SHIPS-DB群から網羅的に人名・地名などの歴史知識情報を抽出・蓄積し、AIによる機械学習の方法論を検討した。 ③中世逸失史料情報の復元研究では、前年度に続き『鎌倉遺文』『南北朝遺文』を対象に、史料テキスト上に引用された逸失史料情報の検出・蓄積を推進した。平行して『南北朝遺文』については、SHIPS内にフルテキストデータベースを構築して、本文データのデジタル化およびその搭載に着手しており(九州編全7冊・中国四国編2冊)、一般公開も視野に入れた環境の整備を推進した。 ④課題解決にむけた分業体制の確立と拠点機関間の連携研究では、前年度に本研究も協力してリニューアル公開となった神奈川県立金沢文庫国宝金沢文庫文書データベースにつき、収載コンテンツの増強や機能強化を進めるとともに、SHIPS-DBとの連携性をさらに高めることができた。両研究機関をつなぐ研究基盤が安定化したことで、①から③に掲げる研究課題についても、効果的な連携研究を進めるための環境が整ったところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「翻刻支援システム」の抜本的刷新と「史料情報統合管理システム」の整備が進んだことで、本研究に必須となるSHIPSのインフラ強化が進展している。新たに『南北朝遺文』フルテキストデータベースが完成するなど、歴史知識情報の汎用化にむけた状況改善が進展した。『鎌倉遺文』『南北朝遺文』を対象とする逸失史料情報の検出・蓄積も予定どおり進行しており、さらに収集対象を拡張しつつ、総体として学術資源としていかに高度化してゆくか、総合的に検討すべき段階に達しつつある。機関間システムの連携についても、金沢文庫と史料編纂所の協調性が高まったことで、より高度な人文系研究機関の協業モデルが提示されることが期待されている。
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Strategy for Future Research Activity |
「史料情報統合管理システム」のさらなる高度化・汎用化、搭載される史料情報の有効な構造化を推進することで、機械学習を援用した史料的脈絡の分析手法を確立してゆきたい。史料編纂所を軸として、人名・地名・歴史的語彙や逸失史料情報の組織的蓄積を強化し、さらに金沢文庫をはじめとする諸機関と連携することで、より強固で汎用的な学術基盤を構築してゆかねばならない。さらに文理融合研究の展開をみすえて、今日まで残されてきた史料群とわずかな痕跡を残すばかりの逸失史料群の双方を、総合的に分析・検討しうる環境を整備することが俟たれている。またこれまで鎌倉・南北朝期の史料を主対象としてきたが、より多くの史料が伝来する中世後期も視野に入れながら、戦略をより高度化することにも努める必要が大きい。
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