2021 Fiscal Year Annual Research Report
Symplectic algebraic geometry and moduli spaces
Project/Area Number |
21H04429
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
並河 良典 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (80228080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 拓郎 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (10315971)
吉川 謙一 京都大学, 理学研究科, 教授 (20242810)
尾高 悠志 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30700356)
吉岡 康太 神戸大学, 理学研究科, 教授 (40274047)
森脇 淳 京都大学, 理学研究科, 教授 (70191062)
疋田 辰之 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (70793230)
松下 大介 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (90333591)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | 複素シンプレクティック多様体 / 双有理幾何 / ポアソン変形 / べき零軌道 / 超ケーラー多様体 / 小林-ヒッチン対応 |
Outline of Annual Research Achievements |
並河(研究代表者)は, 複素半単純リー環のべき零軌道閉包の普遍被覆のQ-分解的端末化に関する論文の第2部(Birationalgeometry for the covering of a nilpotent orbit closure II)を改訂して出版した.これにより, Q-分解的端末化の個数, Namikawa-Weyl群の構造が明示的に記述できるようになった. 研究分担者の研究実績は以下の通りである. 望月は, ワイルド調和束とラムダ平坦束の間の小林・ヒッチン対応についての論文および周期性を持つモノポールと加法的差分加群の間の小林・ヒッチン対応についての本を改訂して出版した.尾高は,Alexeev-Engel氏の主定理の別証明を与え,トロイダルコンパクト化・準トーリックコンパクト化の双有理的特徴づけを与えた. 疋田は,シンプレクティック特異点解消のK理論的標準基底の楕円化に関してはグラスマン多様体Gr(2,4)の余接空間とそのシンプレクティック双対の場合にも,明示的な公式を与えることに成功した. 吉川は,新しい解析的捩率不変量を高次元Enriques多様体に対して定義し, 構成した不変量がモジュライ空間上の反不変MBM軌跡のみに特異性を持つ保型形式で与えられることを示した.吉岡は,ピカール数1のK3曲面上の安定層のモジュライ空間の双有理同値性について考察した. FM対の数はK3曲面の次数に依存していくらでも大きくなるが、双有理同値となるモジュライ空間を与えるK3曲面は高々8個になることが分かった.松下は,超ケーラー多様体のNef 錐と自己同型群の関係について調べた.特に自己同型群が巨大な無限群になるか,有限の階数の自由アーベル群に近いものになるかが,Nef 錐の形で判定できることを示した.森脇は, モーデル予想に関する著書の英訳版を出版した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
古典型単純リー環のべき零軌道閉包の普遍被覆のQ-分解的端末に関しては、明示的なアルゴリズムが見つかり, Q-分解的端末化の個数, Namikawa-Weyl群の構造等に関して、極めて具体的な計算が可能になった. 海外でも, 箙多様体, シンプレクティック商特異点に関して同様の問題意識をもった研究者も現れはじめている. 望月氏の小林・ヒッチン対応の研究に関しては、続々と巨大な成果が上がっている.また尾高氏の代数幾何,微分幾何, トロピカル幾何等の様々な観点からのK3曲面のモジュライ空間のコンパクト化も順調な進展を見せている.
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Strategy for Future Research Activity |
最近, Losev, Matvieievskyi によって, 複素半単純リー環のべき零軌道閉包の G-同変被覆の Q-分解端末化が, Lusztig-Spaltenstein 誘導の形で得られることが証明された. これは,研究代表者が古典単純リー環のべき零軌道閉包のG-同変普遍被覆に対して得ていた結果の一般化になっている. しかし, 彼らのものは, 普遍ポアソン変形を用いた存在定理であり, 研究代表者の得た明示的アルゴリズムとはまだ隔たりがある. 普遍とは限らない一般のG-同変被覆に対して,Q-分解端末化の明示的アルゴリズムをえることは、古典型リー環の場合に限っても興味深い問題であると思われる.
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Research Products
(17 results)