2021 Fiscal Year Annual Research Report
超微粉炭プレコートと超高塩基度PACl凝集によるファウリングフリー膜ろ過
Project/Area Number |
21H04567
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松井 佳彦 北海道大学, 工学研究院, 教授 (00173790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 拓 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30283401)
白崎 伸隆 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (60604692)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | 環境技術 / 環境材料 / 土木環境工学 / 反応・分離工学 / 水資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は,浄水への膜ろ過を適応するに際しての最大の課題の1つである膜ファウリングを抑制する技術を開発するとともに,そのメカニズムを解明することである.本研究では超微粉炭(粒径200 nm)の短期間のパルス添加による前処理法を中心に,その膜ファウリング抑制効果を検討する.本年度は,超微粉炭のパルス添加による前処理法を3種類の全く異なるタイプの膜ろ過に適用した.それらは真空駆動のアウトサイド-インろ過が可能な管状セラミック無機膜システムとPVDF有機膜の浸漬ろ過システム,圧力駆動のインサイドアウトろ過が可能なモノリス型セラミック膜システムである.希釈した自然河川水と都市下水の二次処理水を用いて,逆圧洗浄を繰り返す定流量膜ろ過を行い,膜ファウリング軽減の効果とそのメカニズムについて検討した.その結果,超微粉炭のパルス添加が膜ファウリング抑制に有効に作用するためには均一なプレコートの形成と逆洗浄による剥離が需要であり,前者は浸漬ろ過が有利であり,後者には凝集剤の連続添加が有効なことが分かった.さらに,代表的な微量汚染物質である2-メチルイソボルネオールを指標にして,流入する汚染物質の濃度の時間的変化による汚染物質の脱離リスクについて実験とモデルシミュレーションの両面から検討した.浸漬ろ過システムにパルス添加された微粉炭に吸着した2-メチルイソボルネオールの20〜40%は,流入濃度が低下すると脱着することが分かった.さらに,天然有機物濃度が高いと2-メチルイソボルネオールの脱着率も高まることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果として,以下が明らかとなった.超微粉炭の連続投与よりも超微粉炭のパルス投与は,超微粉炭層のプレコート効果や吸着効果により,浸漬方式の膜ろ過では,セラミック膜と有機膜の両方について,膜透過圧の上昇を緩和することができた.凝集剤と組み合わせた超微粉炭のパルス投与は,膜上にプレコート層を形成し,水圧による逆洗で容易に剥離することができた.超微粉炭連続投入は,パルス投入に比べて水質面で劣り,連続投入した超微粉炭は水圧逆洗後に膜表面に一部残存した.一方,モノリス型セラミック膜システムでは,超微粉炭のパルス投与の優位性は見られなかった.モノリス型膜ではチャンネル長およびチャンネル間における超微粉炭層の分布が不均一であるため,超微粉炭のパルス投与は膜間差圧上昇の低減が連続投与と同程度であった.この不均一な分布は,膜エレメント内の水の不均一な流れによって生じた可能性が示唆された.微粉炭による微量汚染物質2-メチルイソボルネオールの除去については,-メチルイソボルネオールを含まない水が流入すると,一旦吸着除去されていた-メチルイソボルネオールが活性炭から脱着するため劉裕濃度よりも流出濃度が高くなることが分かった.無汚染期間中の脱着率は,汚染期間中の-メチルイソボルネオール破過濃度が高くなるにつれて増加した.超微粉炭は吸着による除去が速いが,脱着による放出も速いことが分かった.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,超微粉炭パルス添加プレコート法が有効であった浸漬型膜ろ過についてさらに検討を進める.引き続き,ラボスケール装置を用いた膜ろ過実験を行い,超微粉炭のパルス添加の継続時間,凝集剤の添加時間,プレコート時のろ過フラックスなどを検討し,浸漬膜ろ過における超微粉炭プレコート法の最適条件を検討する.
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