2022 Fiscal Year Annual Research Report
Centrifuge-supported data-driven geo-disaster prediction during rainfall
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21H04575
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渦岡 良介 京都大学, 防災研究所, 教授 (40333306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 勝利 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (70232767)
中田 成智 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (00815318)
藤澤 和謙 京都大学, 農学研究科, 教授 (30510218)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | 地盤災害 / 豪雨 / データ駆動型予測 / リアルタイム予測 / 遠心模型実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、現場観測と遠心模型実験に基づくダブルデータ駆動型のリアルタイム豪雨地盤災害予測を実現することにある。従来のデータ駆動型の地盤挙動予測においては日常的な現場観測データに対する統計情報が用いられるが、データ駆動型のリアルタイム豪雨地盤災害予測には極端外力下(豪雨、高水)での統計情報が不可欠となる。そこで、極端外力を再現できる遠心模型実験を用いて、極端外力下での統計情報を適切に設定することでデータ駆動型のリアルタイム豪雨地盤災害予測を可能とする。現場で日常的に得られる観測データと遠心模型実験から得られる極端外力下での実験データに対する二つの統計情報の組合せ(ダブルデータ駆動型と呼ぶ)により、ダブルデータ駆動型の豪雨地盤災害予測手法を構築する。 本研究では豪雨による地盤災害を想定し、自然斜面の表層や盛土を対象とする。現場観測、遠心模型実験、地盤材料の力学特性を把握するための室内土質試験、地盤情報のベイズ推定および予測解析を実施する。本年度は次の項目を実施した。1) 遠心模型実験で使用する地盤材料の室内土質試験:遠心模型実験で用いる地盤材料の物理・力学特性を把握するため、物理試験・力学試験を実施した。2) 斜面表層の浸透・破壊挙動に関する遠心模型実験:降雨時の斜面表層の変形から破壊に至る挙動を対象とした。3) 盛土の浸透・破壊挙動に関する遠心模型実験:降雨が盛土に浸透する際の変形・破壊挙動を対象とした。4) 実地盤の地盤調査と観測・計測:実地盤においては徳島県において平野部や山間部で気象観測、地下水位観測、変位計測などを実施した。5) 実地盤の地盤情報のベイズ推定・逆解析、リアルタイム予測解析:1~4)のデータを用いて、地盤の材料特性や地層構成などを推定する。そのための適切な方法の選定を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) 遠心模型実験で使用する地盤材料の室内土質試験、2) 斜面表層の浸透・破壊挙動に関する遠心模型実験について、複数回の遠心模型実験を実施して、統計情報を収集し、粒子フィルタを用いたデータ同化解析に利用した。遠心模型実験における観測誤差や解析モデルの表現誤差を検討した。 3) 盛土の浸透・破壊挙動に関する遠心模型実験について、徳島大学の遠心装置用の降雨装置を開発し、豪雨による斜面崩壊実験ならびに擁壁の転倒実験を行った。 4) 実地盤の地盤調査と観測・計測について、多数のクラックが生じているなど著しく損傷した擁壁に対して、クラックの経時的な開閉を住民と協働して観測している。多数の擁壁に損傷がみられる宅地造成団地を対象に、3次元点群測量(ドローン測量)、ボーリング調査1か所、標準貫入試験、表面波探査2測線などの地盤調査を計画した(実施は2023年度の予定)。谷地形上に築造されたと推定される擁壁背面に静電容量型浸水センサを設置して観測を行なったところ、降雨時に擁壁背面の空洞に水が流入していることが分かった。開発・実装している地震観測システムの拡張性を増加させるため、従来のオンプレミスからクラウドへの移行を実施した。気象観測データをリアルタイムで地震観測システムのクラウドに融合し、同一データベースで災害に関する情報の管理を可能にした。地図情報などを用い、建物個別の地震応答解析をする都市地震シミュレーションのための構造モデル開発に取り組んだ。 5) 実地盤の地盤情報のベイズ推定・逆解析、リアルタイム予測解析について、遠心模型実験を対象として斜面の地下水浸透から降雨浸透による変形を対象として、粒子フィルタを用いたデータ同化解析を実施した。ハミルトニアンモンテカルロ法による材料定数の空間分布の逆解析に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 遠心模型実験で使用する地盤材料の室内土質試験、2) 斜面表層の浸透・破壊挙動に関する遠心模型実験について、遠心模型実験の条件を見直し、実験の精度を高める。実験ケース数を増やして、観測ノイズ設定のためのデータの蓄積を図り、その設定法を検討する。 3) 盛土の浸透・破壊挙動に関する遠心模型実験について、降雨装置の改善を行う。2段擁壁の転倒・破壊過程について、遠心模型実験を行う。 4) 実地盤の地盤調査と観測・計測について、観測を継続するとともに、観測を実施している現場の地盤調査などを実施し、地盤情報の取得を進める。現場の擁壁の変状について引き続き住民と協働して観測を続けていく。地震動データ、気象データの高度利用を促進する。都市地震シミュレーションの木造モデルにおいて、損傷・倒壊を評価できる非線形構造解析モデルの開発をする。 5) 実地盤の地盤情報のベイズ推定・逆解析、リアルタイム予測解析について、遠心模型実験を対象として斜面の地下水浸透から降雨浸透による変形を対象として、粒子フィルタを用いたデータ同化解析を継続して実施し、その適用性を検討する。今年度の検討では実験結果と解析結果の乖離が大きかったことから、まずは解析モデルの妥当性を検証する。その後、今年度は検討できなかった不確実性の高いパラメータ(地表面での降雨浸透量など)の同定を試みる。現地のデータ利用した実際の問題を解くため、モデル選択の枠組みを導入する。これにより構成モデルなどに依存しない逆解析を実践できる。
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Research Products
(22 results)