2023 Fiscal Year Annual Research Report
Developing Management Frameworks of Unregulated Pollutants Considering Water Recycling in River Basins
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21H04940
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗栖 太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (30312979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春日 郁朗 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (20431794)
小坂 浩司 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (60370946)
竹内 悠 京都大学, 工学研究科, 助教 (70835272)
新福 優太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (60964666)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | ノンターゲット分析 / 精密質量分析計 / 高分解能質量分析計 / 未規制汚染物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度から引きつづき隔月1回河川水を採水し、高分解能質量分析計を用いた溶存有機物のノンターゲットスクリーニング分析を行った。特に高頻度で検出される物質のスクリーニングを行ったところ、通年6回の採水のうち4回以上で検出された成分が各地点2~236コンポーネント検出された。また、地点によっては6回すべてで検出された成分もあった。 下水処理施設流入水および2次処理水、塩素消毒後の放流水から検出された有機物について、特に高頻度で検出された物質から順に、物質の構造推定を行った。試料のMS/MS分析により部分構造の推定を行った。化合物の候補が見つかった物質について、標準物質を用い、ジフェンヒドラミンをはじめとする5物質の同定に成功した。ジフェンヒドラミンについては予測無影響濃度(PNEC)の1/10近くの濃度で検出されており、生態リスクの観点から今後注視すべき物質であることが分かった。さらに、物質同定まで至らなかった物質についても、定量的構造活性相関(QSAR)ツールを用いて、生態毒性の評価を行った。 また、浄水処理工程においては、消毒副生成物の生成抑制を目的として、紫外線と塩素による促進酸化処理を行い、未知消毒副生成物の観点から消毒副生成物抑制について検討した。その結果、消毒副生成物の生成が抑制できる処理条件は原水に大きく依存するものの、塩素注入量及びUV照射量の大きい条件で消毒副生成物生成の抑制が確認できた。GAC処理による化学物質の除去性を評価したところ、約240物質中13物質がGAC流入水であるろ過水から20 ng/L以上で検出された。13物質のLog Kowの範囲は-1.0~3.46と幅広かったが、処理評価ができなかった1物質を除きいずれもGAC処理水の濃度は5 ng/L未満であり、親水性物質を含めGACでの除去性が高かったことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
河川水の通年での試料採取と、ノンターゲットスクリーニング分析を予定通り実施することができた。また、下水処理場における調査については、高頻度検出物質のスクリーニングと物質同定について予定通り進めることができ、標準物質を用いた物質同定を行うことができた。さらに、物質同定にいたらなかった物質についても、毒性の初期評価を行うことができた。浄水場における調査、および促進酸化処理による消毒副生成物質抑制についても、分析を行って十分なデータを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果を整理し、異なる試料におけるデータの相互比較を進め、流域の水利用における有機物質の挙動について整理していく。
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