2021 Fiscal Year Annual Research Report
大麦粉生地の力学特性に及ぼす諸因子の影響をふまえた加水指標の確立
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21J13188
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
谷口 明日香 東京家政大学, 人間生活学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 大麦粉 / 力学特性 / 粒子特性 / 粒子径 / 加水条件 / β-グルカン / 損傷デンプン / 空間率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、大麦粉製品の製造において重要である加水条件の決定指標を得るため、大麦粉の粒子特性に着目し、生地の力学特性に影響を及ぼす主因子の解明を試みた。 遺伝的背景の検討から6条大麦品種の中でも特異的でないと考えられたファイバースノウを試料とし、製粉条件を変えて粒子特性(粒子径、多分散度、損傷デンプン含量、空間率)のみが異なる大麦粉3種類を製粉した。各種大麦粉を用いて、5水準の加水率で生地を調製し、力学特性を比較した。 その結果、粒子特性の影響は生地濃度により異なり、ドウ生地(加水率100-150%)では見られず、バッター生地(200-300%)で生じることを明らかにした。さらに、回帰分析及び分散媒の比較により、バッター生地の力学特性には粒子径の影響が大きく、これには比表面積に依存したβ-グルカンの溶出濃度の相違が関与していることがわかった。すなわち、粒子径が小さく比表面積が大きな大麦粉生地では、分散媒のβ-グルカン濃度及び粘度が高く、生地の力学特性も高いことが明らかになった。分散媒へのβ-グルカンの溶出が関与するという点は、他の穀物粉では見られない特徴であり、本研究により大麦粉の特異性を見出すことができた。この発見に加えて,大麦粉の生地濃度によるβ-グルカンの存在形態の違いを蛍光顕微鏡により明瞭に捉えることに成功したとともに、この因子間の複雑な関連性を可視化し大麦粉生地の特徴の理解を広く促すため,濃度が異なる大麦粉生地ごとに粒子の分散状態モデルを作成した。さらに、粒子径に伴い生じた力学特性の相違は、加水量の調節により補正することが可能であり、その際の調節量は、目的とする製品により異なることを明らかにした。 本課題の遂行により、大麦粉の利用普及のための基礎データとして有用な知見が得られたものといえる。以上の成果の一部は、国際誌にオープンアクセスにて公表した。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(2 results)