2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21J13613
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安藤 和久 広島大学, 人間社会科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | イエナ・プラン / ペーターゼン / 改革教育学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目となった2021年度は、とりわけ研究課題②「イエナ大学における教員養成の伝統との連続・非連続性という視覚からの、教育学的事実研究を軸とした大学附属学校としてのイエナ・プランの検討」を中心に研究を進めた。とりわけ、学校改革イエナ・プランの構想を、その創始者であるペーターゼンの一般教育科学、教育学的事実研究、学術的な教師教育の構想との相互関係の中で捉え、彼の思想・哲学的背景と共に読み開くことで、教育学そのものの改革に向けた意義を明らかにした。これらの成果は日本教育方法学会での発表そして日本教育方法学会の学会誌への論文投稿へと繋がった。また、研究課題①「イエナ大学附属学校の実践報告や教育学的事実研究の授業記録を手がかりとしたイエナ大学附属学校の学校生活や授業過程の実践的検討」に関して、実践報告がなされた著作を手がかりとしながらイエナ・プランの学校改革としての展開過程を整理・分析する研究に取り組んだ。それに加えて、歴史的・実証的な本研究の意義を今日的な動向とも照らし合わせながら検討していくために、ペーターゼン没後のイエナでのイエナ・プランの成立と展開過程についても明らかにし、学会発表と論文投稿をおこなった。 上述の研究成果とともに、本年度はドイツのニーダーザクセン州フェヒタに存在するペーターゼン・アーカイブ(Peter-Petersen-Archiv)を訪問し、教育学的事実研究の授業記録やイエナ大学附属学校や教育学週間に関するものをはじめ、多数の未刊行の資料を収集することができた。これらの史料を手がかりとして、来年度以降研究課題①を中心に研究を進めていく基盤を整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はドイツのニーダーザクセン州フェヒタに存在するペーターゼン・アーカイブ(Peter-Petersen-Archiv)への訪問と史料収集を通して研究を進める基盤を整えることに止まらず、2度の学会発表と3本の投稿論文の執筆など研究を十分に前に進めることができたため。とりわけ、日本教育方法学会での発表と投稿論文「ペーターゼンにおける自律的教育科学の構想ー教育学的事実研究と学術的な教師教育に着目してー」は、イエナ・プランを諸学校の改革の実践として捉える際に極めて重要となる創始者ペーターゼンの理論を当時のイエナ大学での教師教育への取り組みとも関連させながら論じたものであり、本研究課題である「学校改革としてのイエナ・プランの実証的研究」を大きく進めるものとなった。アーカイブへの訪問がCOVID-19の影響等により年度末になったため、これらの資料を本年度の研究に十分に活かしきれなかったものの、現在までの研究は「(2)おおむね順調に進展している。」。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目となった2021年度は、とりわけ研究課題②「イエナ大学における教員養成の伝統との連続・非連続性という視覚からの、教育学的事実研究を軸とした大学附属学校としてのイエナ・プランの検討」を中心に研究を進めた。2年目となる2022年度は主に研究課題①イエナ大学附属学校の実践報告や教育学的事実研究の授業記録、それらに関する未刊行資料を手がかりとした、イエナ大学附属学校の学校生活や授業過程の実践的検討に取り組む。 2021年度に訪問したドイツのニーダーザクセン州フェヒタに存在するペーターゼン・アーカイブ(Peter-Petersen-Archiv)では、研究課題②に取り組むために必要な史料を収集することができた。これらの史料を中心に、イエナ大学附属学校での実践がいかに展開していたのか、またイエナ大学附属学校での実践を軸にどのような学校改革の実践としてイエナ・プランが展開していったのかを明らかにする。そのため、イエナ大学附属学校での実践報告にとどまらず、イエナ大学附属学校外でどのようにイエナ・プランに取り組まれたのか、イエナ大学教育科学研究所がどのような教育学者間の交流を組織していたのか、さらには改革教育学運動の中でイエナ・プランはどのように位置づくのか、といった問いを射程に入れて研究を進めていく。 これらの研究成果を学会大会(日本教育学会あるいは日本教育方法学会、中国四国教育学会)で発表し、学術論文としてまとめる。
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