2022 Fiscal Year Annual Research Report
超高温変成岩の昇温過程の変成温度-圧力-時間-溶融履歴の構築
Project/Area Number |
21J14542
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 康太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 超高温変成作用 / 昇温期変成作用 / 部分溶融現象 / メルト包有物 / ザクロ石 / ジルコン / ピストンシリンダー / 岩石学 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高温変成岩体の形成メカニズムは論争の的であり、形成場や熱源を理解するうえで昇温期の情報は重要である。しかし、化学的再平衡の影響により、昇温期の変成履歴はこれまでよく分かっていない。本研究課題では、ルンドボークスヘッタ(東南極リュツォ・ホルム岩体)の超高温変成岩を例に、昇温期に成長した鉱物中の包有物に着目し、【Ⅰ】昇温期の変成温度-圧力-時間-溶融履歴の構築に取り組んだ。また、メルト包有物(ナノ花崗岩包有物とガラス包有物)の再溶融実験と組成分析を行い、【Ⅱ】変成作用の進行に伴う部分溶融メルトの組成変化の追跡に取り組んだ。 【Ⅰ】昨年度は、ザクロ石の成長に伴う包有鉱物の組成と種類の変化に基づいて、昇温昇圧変成履歴を構築した(結果1)。今年度は、ザクロ石中と基質中のジルコンの組織観察とLA-ICP-MS分析結果に基づいて、ザクロ石成長以前の初期昇温期変成条件から3000万年かけて超高温変成条件に到達したこと(結果2)、およびメルトが存在し得る高温状態が4000万年間継続したことを明らかにした(結果3)。 【Ⅱ】昨年度は、ザクロ石成長以前の初期昇温期変成条件下で生成されたジルコン中のナノ花崗岩包有物の再溶融実験を実施した。今年度は、実験で得たジルコン中およびザクロ石中のガラス包有物の組成分析を行った。その結果、ジルコン中、ザクロ石内側、ザクロ石外側にかけて、メルト組成が化学平衡を保ちながら高温高圧方向に変化したこと、および昇温期の温度上昇は化学平衡を保てる程度にゆっくりしたものであったことを明らかにした(結果4)。 上述の結果1~4は、本研究地域における超高温変成作用が、大陸衝突に伴う地殻の厚化と放射性元素の崩壊熱を熱源とするプロセスで説明できることを示唆する。包有物に着目した本研究手法は他地域にも応用可能であり、超高温変成岩体の形成メカニズムの解明に広く貢献すると期待される。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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