2021 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the evaluation of the topography in urban transportation planning based on the influence to the travel behavior
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21J14695
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
早内 玄 横浜国立大学, 都市イノベーション学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 都市交通計画 / 公共交通 / 斜面市街地 / 都市計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は都市交通計画における地形条件評価手法の確立に向け,高低差や勾配が外出頻度や居住継続を含む行動選択に与える影響を明らかにすることを目的としている.申請者らによる先行研究等の成果を踏まえ,2021年度は主に以下に取り組んだ. 一点目は居住地の地形条件と居住者の外出頻度および転居意向との関係である.対象地として,大都市郊外部の斜面市街地である神奈川県横浜市金沢区の富岡地区を選定した.当該地区全世帯を対象に,申請者らが2020年度に実施した質問紙調査を分析データとしている.居住地の傾斜度と個人の外出頻度との間に特筆すべき関係は確認されなかった一方,将来的な転居意向について,その意向を示した場合の理由に着目し,以下の結果を得た.意向を示した53世帯のうち45世帯の理由・居住地が判明しており,移動環境,特に地形条件に伴う移動の課題を理由とする世帯の居住地が,他の理由を示す世帯に対して有意に高いことなどを示した. また,斜面市街地の移動環境改善施策として当該地区で実証実験が行われている,小量乗合型輸送サービスへの居住者による反応について,居住地の地形条件を含めて決定木分析を行うことで,新たな輸送サービスへの反応に対する地形条件の影響を明らかにした. 二点目は,移動と健康の関係である.本研究では地形条件に伴う移動時の身体負荷と様々な行動との関係を対象としていることから,個人の健康状態との関係が重要な視点となる.そこで2022年度の取り組みの基盤として,移動と健康状態との関係についての先行研究を総括し,指標の課題や縦断研究の必要性を含め,今後の方向性を整理した. これら一連の成果をもとに都市交通計画において地形条件が考慮可能な状態を構築するロードマップを再構成した.2022年度は当該ロードマップにもとづき,実際の交通計画にでの実装により近づけるため,ツールの開発等を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は,研究実績の概要欄に示すように,斜面市街地における地形条件が居住者の行動や意向に与える影響を明らかにし,本研究の趣旨に沿った一定の知見を得ることができた.また,それを測る指標の構築に向け,健康と移動の関係を対象にした先行研究整理等,より知見を広げるための研究活動も行うことができた. 2021年度末より,これら知見を実際の都市交通計画策定時に反映させられるようにするロードマップを再構成しており,知見の実装に向けた工程をより具体化して提案できた点を含めて,本研究はおおむね順調に進展しているものと位置付けている.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の成果を踏まえ,2021年度末より2022年度初頭において,地形条件と行動の関係に関する知見を実際の都市交通計画策定時に反映させるためのロードマップを再構成,提案している. ここでは,交通行動分析の成果と各地区の移動環境に関する課題診断,課題診断と実際の施策設計,施策とその便益評価,の各プロセスを理論的,技術的に結合させる工程を提案しており,2022年度はその精緻化および一部ツール等の開発を通じ,本研究の目的である,斜面市街地におけるこれからの都市交通計画策定における基盤の構築を実現させる予定である.
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Research Products
(1 results)