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2022 Fiscal Year Research-status Report

第二次世界大戦期における「フランスの伝統」概念の総合的研究

Research Project

Project/Area Number 21K00152
Research InstitutionKyoto Tachibana University

Principal Investigator

大久保 恭子  京都橘大学, 発達教育学部, 教授 (70293991)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 松井 裕美  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40774500)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsフランス美術の伝統 / フランス性 / パリ万博 / 第二次世界大戦 / キュビスム / レアリスム / シュルレアリスム
Outline of Annual Research Achievements

令和4年度(2022年度)は、第二次世界大戦期における「フランスの伝統」概念検討のために、1)その前提となる戦争文化の視点からの第二次世界大戦期のフランス性に関する検討結果の公表 2)大戦間期末期、1937年パリ国際博覧会時に開催された「独立美術の巨匠たち1895-1937展」をめぐる「伝統」概念の調査・検討を行うことを課題とした。
1)については代表者を編者とする『戦争と文化 第二次世界大戦期のフランスをめぐる芸術の位相』を出版し、研究結果を公表した。
2)については、1937-1945年を中心に、BLIOTHEQUE NATIONALE DE FRANCEが公開している、「伝統」をキーワードとする美術批評をGallica で調査し、その結果の一覧を作成した。それを踏まえて代表者は、12月17日に京都大学人文科学研究所主催の研究会「芸術と社会」で、「フランス美術の「伝統」について―包括と排除―」と題して発表を行った。「伝統」概念を具体的に捉えるために、多様な同時代美術を展示した「独立派芸術の巨匠たち1895-1937年展」において展示された芸術家と作品を特定し、展示作品のみならず排除されたものに焦点を当てて、「伝統」に結びつくものとそうでないものとの分水嶺を見極めた。そのうえで「伝統」概念を醸成した当時の言説界を俯瞰的に検討した。
研究分担者(松井裕美)は、共著『戦争と文化』でヴィシー政権下での美術作品の国家購入を取り上げて価値判断基準の変化を検証し、論文「前衛美術とポスト・ヒストリー キュビスムにおける錯綜する古典という参照点」で前衛芸術運動であるキュビスムにおける古典の扱いとその錯綜を論じ、編者を務めた著書『レアリスム再考 諸芸術における〈現実〉概念の交叉と横断』で、フランス美術の伝統の根幹をなす概念「レアリスム」を19世紀から現代までのスパンで多義的に論じた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

令和4年度(2022年度)を単年で見ると遅れはなく研究はほぼ予定した通りに進行している。ただしコロナ禍により生じた令和3(2021)年度の遅れが令和4年度にも影を落とし、全体としては遅れている状況が続いている。しかしGallica を介してBIBLIOTHEQUE NATIONALE DE FRANCEが公開している資料を収集・整理でき、第二次世界大戦期の「フランスの伝統」概念考察の具体的糸口を絞りこむことができたことは有意であった。
令和4年度(2022年度)の海外調査は、前年度までに収集した資料の整理と検討を優先したために見送らざるを得なかったが、分担者との意見交換を踏まえて、検討内容を論文にできたことは、本研究全体の見通しを立てるという点で大きな進展があったと言える。

Strategy for Future Research Activity

令和5年度(2023年度)は、前年に実行できなかった海外調査を行う予定である。
前年度までに焦点を絞った課題、1)1937年パリ国際博覧会時の「独立派芸術の巨匠たち1895-1937展」をめぐる、展示されたものと排除されたものから見た「フランスの伝統」概念の検討結果の論文化 2)パリ解放後のフランスの「伝統」をめぐる言説とニューヨークにおけるフランスの「伝統」の受容の比較検討を行う。
1)のためにパリ市立近代美術館において「独立派芸術の巨匠たち1895-1937展」開催準備段階の資料を調査する予定である。2)のために引き続きオンラインを活用して調査を進め成果を論文化することに努める。
研究分担者(松井裕美)は、フランス国立図書館および公文書館でキュビスムの女性芸術家についてのアーカイヴ調査を行い、フランス美術史の形成において排除されてきた存在について考察する予定である。
また研究分担者との定期的な意見交換を行い、ワークショップを開催する予定である。

Causes of Carryover

コロナ変異株のため状況が安定せず予定していた海外調査および資料集を行うことができなかったが、これまでに収集した資料分析を優先して進めることにした。令和4年度(2022年度)に予定していた海外調査は、令和5年度(2023年度)に行い旅費などを使用する予定である。

  • Research Products

    (7 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) Book (5 results)

  • [Journal Article] 前衛美術とポスト・ヒストリー キュビスムにおける錯綜する古典という参照点2022

    • Author(s)
      松井裕美
    • Journal Title

      美術フォーラム

      Volume: 45 Pages: 37-45

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] フランス美術の「伝統」について―包括と排除―2022

    • Author(s)
      大久保恭子
    • Organizer
      京都大学人文科学研究所 共同研究班「芸術と社会―近代における創造活動の諸相―」 第22回研究会
  • [Book] レアリスム再考―諸芸術における〈現実〉概念の交叉と横断2023

    • Author(s)
      松井裕美編
    • Total Pages
      561
    • Publisher
      三元社
    • ISBN
      978-4-88303-564-9
  • [Book] 戦争と文化―第二次世界大戦期のフランスをめぐる芸術の位相2022

    • Author(s)
      大久保恭子編、松井裕美
    • Total Pages
      284
    • Publisher
      三元社
    • ISBN
      978-4-88303-551-9
  • [Book] 予測と創発 : 理知と感情の人文学2022

    • Author(s)
      中村靖子編、松井裕美
    • Total Pages
      450
    • Publisher
      春風社
    • ISBN
      978-4861108365
  • [Book] Les Choses. Une histoire de la nature morte2022

    • Author(s)
      Bertrand dorleac, Hiromi Matsui
    • Total Pages
      448
    • Publisher
      Musee du Louvre
    • ISBN
      978-2359063837
  • [Book] 現代思想2022

    • Author(s)
      松井裕美、上村剛、中井杏奈
    • Total Pages
      238
    • Publisher
      青土社
    • ISBN
      978-4791714414

URL: 

Published: 2023-12-25  

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