2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K00269
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小野 泰央 中央大学, 文学部, 教授 (90280354)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 林羅山 / 画賛 / 仮設問対 |
Outline of Annual Research Achievements |
林羅山作品における「仮設」は「七武餘論」(『林羅山文集』巻二十五)「帰去来辞図賛」(同巻四十六)に、「仮設問対」は「山王論」(同巻二十五)に見られる。この『文選』の「仮設」作品を踏まえた作品は、羅山以前には見られず、羅山以後では、鵞峰の「七武」(『鵞峰先生林学士全集』巻四十六「七」)の「福原狂士」(平清盛)等や、「一能氏伝」(同巻五十「伝」)の「烏有生」(『文選』「子虚賦」に拠る)などに受け継がれる。前者については、羅山は「七武餘論」(『林羅山文集』巻二十五)で「太史公」に成りすましつつも、『文選』「七」を踏まえた作であるとする。つまり、林羅山の「大猟賦序」は日本で始めて『文選』の「仮設問対」に本格的に依拠した作であると言える。 『林羅山文集』巻四十六「賛上」に載る林羅山の「老子八仙賛」は、老子・鉄拐・鍾離権・呂洞賓・張果老・藍采和・何仙姑・韓湘・曹国舅に対する賛である。このうち特に八仙に対する賛は、主として『列仙全伝』の伝を参考にしている。『林羅山詩集』巻七十一「画図五」における詩も同様である。『林羅山詩集』巻六十七から巻七十二は「画図一」から「画図六」に分類され、中には『後素集』に載る画題が見られ(「李白観瀑」など)、武将賛は南総・張預の『十七史百将伝』に、名臣賛は『古聖賢像伝略』、詩人賛は南宋・魏慶之の『詩人玉屑』に主として依拠していると考えられるが、別けても、巻七十一「画図五」における「馬師皇」から「蜆子」までは、その対象の多くが『後素問』における伝と重なる。つまり、『林羅山詩集』巻七十一「画図五」の詩も、『列仙全伝』『後素問』と深く関係する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
林羅山の画賛や仮設問対について順調に解明できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
林羅山の中国古典依拠について、さらにその対象を広げて相対化していく。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍において、文庫の調査が研究を十分に行える状況になかった。よって、次年度に研究を延期せざるを得なかった。
|
Research Products
(2 results)