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2023 Fiscal Year Research-status Report

Research on the formation of Edogawa Rampo's collection and its utilization

Research Project

Project/Area Number 21K00273
Research InstitutionMusashi University

Principal Investigator

丹羽 みさと  武蔵大学, 人文学部, 助教 (90581439)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywords江戸川乱歩 / 和本カード / 古典籍 / 男色研究 / 南方熊楠
Outline of Annual Research Achievements

昨年度に引き続き、江戸川乱歩が作成した古書の入手記録である「和本カード」の入力調査を手がけ、解題と共に研究誌への掲載が完了した。また旧蔵書を所蔵管理している立教大学図書館と協力し、ホームページ上に索引可能なデータベースとして収録してもらう手筈を整えた。これにより、乱歩自筆の書誌データと書籍現物との照合が可能となり、近代における古典籍の利用や、乱歩作品の典拠分析などの諸研究の基盤を構築することができた。
また、乱歩のジェンダー観や知的関心を明らかにするため、その比較対象として乱歩と同じく男色研究に関心があった南方熊楠の同性愛観について調査を行った。蔵書形成において、江戸川乱歩は男色研究に大きな比重を置いており、乱歩の男色研究に貢献していた人物として、従来から知られていたのは、三重県鳥羽の岩田準一だが、先年、鳥羽調査において岩田が南方熊楠とも頻繁に男色談義を行っていたことがわかった。熊楠は岩田の学識を認めていたが、乱歩についてはやや否定的であった。その根源を探るため、南方の男色研究についての調査を行った。ご進講を行った粘菌学者として注目されがちな熊楠であるが、文学的視点からの研究の進捗や、性に関する意識などが確認できた。
さらに、乱歩がかつて訪れた場所でもあり、乱歩作品にも見られる長崎の各所を調査し、実生活での活動が、作品へどのように応用されていったのかを確認した。それにより、実際の地理的環境と作品の舞台が不一致である場合が見られること、古典や新聞といった文字情報も利用していたことがわかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

1,2年目から進めていた「和本カード」を一般公開することができた。印刷物およびデータベースという両軸での閲覧が可能になったことは、国内外の研究者等の調査を容易にし、今後一層、乱歩研究の発展が見込まれる。想定よりも「和本カード」公開作業に時間がかかり、3年目で計画していた捕物小説作家や時代小説に対する乱歩の意識については研究が遅れている。男色文献研究に関しては研究手段に関する知見を得ることが出来たため、次年度の実証的な分析に繋げられる見込みである。

Strategy for Future Research Activity

本年度完了した「和本カード」のデータや旧蔵書などを用いて、乱歩の男色文献に関するジェンダー観を見て行きたい。特に、「浄愛」や「忠」といった武士の精神に重きを置いていた南方熊楠を比較対象とし、井原西鶴作品等を中心としながら、乱歩にとっての資料的、同性愛研究的な重要度について研究の端緒を開いていく。

Causes of Carryover

データベース化の人件費の支出がなくなったため、若干の次年度使用額が生じた。次年度は参考資料や調査のための旅費等に使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] 江戸川乱歩「和本カード」目録2023

    • Author(s)
      丹羽みさと
    • Journal Title

      大衆文化

      Volume: 29 Pages: 61-142

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2024-12-25  

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