2021 Fiscal Year Research-status Report
江戸後期・明治期の地名に由来する表象文化の再生産と増殖の実態を解明する研究
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21K00276
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
平林 香織 創価大学, 文学部, 教授 (50300132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 善隆 立正大学, 文学部, 教授 (30287940)
稲葉 有祐 和光大学, 表現学部, 准教授 (90649534)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 近世文学 / 俳諧 / 和歌 / 地誌 / 地名 |
Outline of Annual Research Achievements |
近世から明治にかけて、交通網や情報文化が発達することによって人々の地名表象に対する意識が非常に高まったことを解明しはじめた。社会情勢を勘案し、対面でのディスカッションや、都県をまたいでの移動による調査を控えたが、共同研究者それぞれが、各自で、新たな資料の収集や解析を行った。 7月と2月に研究代表者・研究分担者・研究協力者らでミーティングを行い、各自の研究の進捗状況や今後の推進方針について確認した。 研究代表者平林は、近世文学における地名意識の表出について、井原西鶴の浮世草子作品や地誌『一目玉鉾』を中心に考察を行、近世後期の地名意識の拡大に接続するものとして、西鶴の地名意識が、同時代の日本地図の出版文化とリンクし、陸の道東北と海の道西国を接続させるものであり、また、海の道を日本近海から遠くインド洋を経由してヨーロッパにつなげる拡大意識に裏付けられたものであることを検証した。 研究分担者・稲葉は、加舎白雄の芭蕉顕彰活動の一端を「名所の記憶」という観点から解析し、「白雄と「恋し」―芭蕉顕彰・地名の記憶をめぐって―」と題する口頭発表を行った。 また、各自、地名関連書籍の収集を行いつつ、資料解析として書誌データ・翻字データの入力作業を行った。研究代表者・平林は『産物狂歌詠』の翻字を行った。今後、地名表象HPを開設し、公表予定である。研究分担者・伊藤は地名関連俳諧資料として橡実庵一枝編『ひの川集』、『〔蘆本自筆四季発句巻〕』を翻刻公表した。研究分担者・稲葉は『恵方の富士』の改題と翻刻を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、鶴岡市で地名表象をめぐるシンポジウムを行う予定だったが、社会情勢を鑑みて見送った。致道博物館への継続調査も中断中である。他県へ移動しての調査活動は停滞しているが、各自の研究の進捗状況は順調といえる。また、やはり社会情勢により対面でのディスカッションはかなわなかったが、メールやオンラインミーティングを通して、情報交換を行地、各自の進捗状況や今後の研究方針について随時確認しあった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の各自の地名に関する調査・研究を継続する。 今期はホームページを立ち上げることを計画している。地名関連資料の写真・解題・翻字データを随時アップデートし、公表する予定である。 また、鶴岡市に調査に赴き、地名関連資料の確認を行う。 研究代表者は、致道博物館主催・土曜講座にて鶴岡市致道博物館所蔵酒井家俳諧資料に関して、地名関連の研究成果の報告を行う予定である。 各自の研究成果を、しかるべき研究誌や口頭発表の場で報告することも継続して行う。
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Causes of Carryover |
都県をまたいでの調査を行わなかったため、旅費の使用がなかった。その余剰金を、次年度における出張旅費及びホームページの構築費用に充当する予定である。
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Research Products
(7 results)