2022 Fiscal Year Research-status Report
文学テクストとしての近代日本語歌詞に関する総合的研究
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21K00298
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Research Institution | Hijiyama University |
Principal Investigator |
小林 洋介 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (00757297)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歌詞 / 定型詩 / 中原中也 / 朝の歌 |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請時の工程表にしたがえば、令和4年度は「詩人が作詞した〈歌詞テクスト〉の目録作成・ウェブ公開を行う予定であった。しかし、令和3年度と同様に令和4年度においても、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い調査出張や研究会の開催が計画通りに進まない状況が続いており、目録の完成には至らなかった。代わりに、特定の〈歌詞テクスト〉を集中的に分析することとし、特に中原中也「朝の歌」についての分析結果を以下の学術論文として公表した。
(学術論文)小林洋介「中原中也「朝の歌」の五七調―反〈軍楽〉的韻律」『中原中也研究』第27号、2022年8月、pp.108-117
本論文においては、「朝の歌」が、詩のモチーフとして〈軍楽〉の記憶が謡われていながらも、五七調の韻律によって必然的に〈軍楽〉あるいは行進曲の特徴である〈七五調・4分の4拍子〉あるいは〈七五調・4分の2拍子〉からは程遠いメロディーを付されることとなったことを論じた。これに加えて、令和5年度以降の研究活動に向けて、日本近代の〈歌詞テクスト〉の様態に関する資料収集を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度において既に新型コロナウイルスの流行によって遅れが生じており、その遅れが令和4年度にも影響したほか、令和4年度においても引き続き新型コロナウイルスの流行とそれに伴う研究以外の業務の増加によって、調査出張や研究会の開催が計画通りには進まなかった。
旅費の支出がなかったが、実際は、他の研究課題に係る調査と合わせて大学から支給される個人研究費から旅費を支出して令和4年5月、9月、11月に国会図書館への調査出張を実施しており、進展がなかったわけではない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度中に、1940年に実施されたいわゆる「紀元二千六百年」に関連する2つの歌曲「紀元二千六百年頌歌」「奉祝国民歌 紀元二千六百年」に関する論文を学術雑誌に投稿する(ただし、刊行は令和6年度にずれ込む可能性がある)。
全体的に遅れが生じているため、研究課題の延長を申請するかどうか、見極める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行に伴い、所属研究機関における研究以外の業務量が増えているほか、調査出張や研究会の開催に支障を来している。調査出張や研究会は令和5年度に実施することとなるが、状況に応じて回数を減らすなどの効率化を図る。
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