2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K00307
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
太田 亨 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (80370021)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 義堂周信 / 空華集 / 新撰貞和分類古今尊宿偈頌集 / 重刊貞和類聚祖苑聯芳集 / 偈頌 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、朝倉尚氏の著書『禅林の文学―「偈頌の総集」「詩の総集」に関する基礎研究』を清文堂から刊行することができた。著者の代わりに著書の校正を全て行い、関連する資料を確認した。義堂周信に関する論考は、本書第一部において、「偈頌の総集」として、義堂周信が編んだ『新撰貞和分類古今尊宿偈頌集』(略称「新撰貞和集」)と『重刊貞和類聚祖苑聯芳集』(略称「重刊貞和集」)を研究対象としている。これまでに公表してきた論考に加え、「新撰貞和集」と「重刊貞和集」の底本の選定・作品数・部類・詩型・重複詩数・各版との比較を行い、書誌事項を詳細に調査し、「新撰貞和集」から「重刊貞和集」への変化を明らかにしている。さらに両書の実態が明らかになったところで、渡来僧の無学祖元と清拙正澄の作品が、両書にどのように入集されているかを調査し、その特徴と原因について論じている。付章では義堂周信の著作集『空華集』について言及している。現在容易に利用できる「五山文学全集本」は、不分巻である五山版を再構成して二〇巻本に編成した元禄九年刊版本を大略底本としている。三書の成立・内容・相違点を調査・検討し、「五山文学全集本」の処遇について、著者の見解・評価を述べている。 『空華集』の訳注を行い、公表した。七言絶句六首の訳注であるが、義堂が関東に赴いた際の交友関係を明らかにしている。これまで着目されてこなかった無倪文端や復初□朴といった人物について、その人物像の一端を示した。現在残されている資料で、義堂を研究する上で必要な書物や、当時の法系に関わる状況など、新たに気付かされることが多く、地道にこの作業を継続することが必要であろう。 三年間を通じて、義堂周信の文学観、特に偈頌に対する考え方についてより深く追究した。人物関係については、予想以上に複雑であり、訳注を通じて徐々に明らかになってきている。
|
Research Products
(2 results)