2021 Fiscal Year Research-status Report
A study of the text and transition in the Tamazato Bunkobon "Kohitsu Genji Monogatari"
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21K00319
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Research Institution | The International University of Kagoshima |
Principal Investigator |
武藤 那賀子 鹿児島国際大学, 国際文化学部, 准教授 (40759495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 信 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (30512793)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 源氏物語 / 玉里文庫本 / 書写本 / 鎌倉時代 / 室町時代 / 書誌学 / 独自本文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、玉里文庫本『古筆源氏物語』(鎌倉~南北朝時代写、全十五帖、鹿児島大学附属図書館所蔵)を再検討し、5つの観点――①『古筆源氏物語』の明確な書写時期および伝来。②表紙が2種類あるのは何故か。また、いつこの表紙が付けられたか。③『古筆源氏物語』が3つの書型に分けられることから、取り合わせの時期を考える。④題簽および極札が付けられた時期。⑤『古筆源氏物語』の各帖の翻刻および表現の特徴を詳らかにする。――を明確にするものである。これらが明確になることにより、玉里文庫本『古筆源氏物語』の位置づけが明白なものとなり、『源氏物語』の本文研究、および独自本文を中心とした読みの問題にも一石を投じるものになると考えている。 報告者は、2021年度中に「花宴」巻で一本、「若菜下」巻で二本(こちらは研究協力者との共著)の翻刻と考察を行なう論考を著した。これは、翻刻のみを行なうものではなく、『源氏物語』の諸本の本文と見比べたうえでの違いを明確にすることで、本文の特徴を掴むというものである。のみならず、玉里文庫本の本文に顕著な違いがある場合には、その箇所の考察を行なった。なお、この考察は前後関係からの観点、表記上の観点、語りの観点と多岐にわたっている。 また、「若菜下」巻の巻末にある「なもあみたふつ」の一文については、当研究の分担者が一本論考を著した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度中に合計4本の論文を刊行できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
各帖の翻刻とその考察は、現在の手法でとくに過不足がないため、今後も続けていく。 また、全体の書誌に関しての論考については、2023年度中までには考察を固めておきたい。 ただし、そのためには、研究分担者および研究協力者にも玉里文庫本古筆源氏物語の実物を確認してもらったうえで、報告者の考察に矛盾がないかどうかの確認もしてもらうことで、より論考を強固なものにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、県境を跨いでの移動が所属大学より制限されていたため。なお、その代わりに2022年度は玉里文庫本古筆源氏物語の実物を見ながらの考察等を行ないたいと考えている。
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Research Products
(4 results)