2023 Fiscal Year Research-status Report
宮城県に残存する江戸期から明治期における方言資料の発掘調査,および資料論的研究
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21K00542
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
作田 将三郎 鳥取大学, 地域学部, 教授 (30566021)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地方語文献 / 道中記 / 音声の方言的特徴 / 江戸時代 / 仙台藩 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、宮城県図書館へ5回出向き、同館に所蔵、および開架されている古和書のうち、近世に作成された旅行の日記・紀行である道中記と呼ばれる資料を対象に、資料の発掘調査、資料の閲覧と複写、および方言的特徴記載の有無の確認といった作業を行った。 その際、仙台藩刈田郡白石村(現在の宮城県白石市)の商人である渡辺喜伴が弘化3(1846)年に作成した『道中記』を採取し、同書に見られる表記上に反映されていると考えられる音声の方言的特徴のうち、「語中・尾におけるイとエの混同」を取り上げし、資料作成当時の使用状況について作田将三郎(2024)「『伊勢参宮所々名所並道法道中記』と『道中記』に見られる音声の方言的特徴」『地域学論集』(鳥取大学地域学部紀要)第20巻3号で報告した。 また、令和4年度の調査の際に採取した資料のうち、仙台藩領登米郡早稲屋敷(現在の宮城県登米市迫町)の住人である阿部庄兵衛が寛政10(1798)年に作成した『伊勢参宮所々名所並道法道中記』の表記上に反映されている「語中・尾におけるイとエの混同」について、当時の使用状況と現代方言との比較による考察を作田(2024)で、近世後期に現在の宮城県北部地域で作成されたと考えられる『金毘羅道中記』を対象に、『同書』の表記上に反映されていると考えられる音声の方言的特徴として、「語中・尾におけるイとエの混同」と「語中・尾におけるカ行・タ行子音の有声化」について、当時の使用状況と現代方言との比較による考察を作田将三郎(2023)「『金毘羅道中記』に見られる音声の方言的特徴」『地域学論集』(鳥取大学地域学部紀要)第20巻第1号でそれぞれ報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は当初の予定どおり、宮城県図書館において表記上に方言が反映されていると考えられる文献に関する調査を実施できた。また、令和4年度と令和5年度における調査の際に採取した資料を利用し、2本の研究論文を執筆したことで、これまでの研究の遅れを大幅に取り戻すことができ、ようやく研究に進展が見られた。 令和5年度になり、ようやく当初設定していたエフォートを十分に確保することができたものの、現在までの研究作業に関する進捗状況は、立案していた研究計画よりも遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究作業の遅れを取り戻し、滞りなく推進させていくために、今年度は仙台市立図書館に所蔵されている、または同館のホームページに収録されているデジタル化された道中記資料を調査対象にしていく。 今年度の実施計画として、仙台市立図書館に出向き、資料を閲覧し、表記上に反映されていると考えられる方言的特徴の確認や用例の採取といった作業を行う。そして、資料作成当時の資料作成地における方言的特徴が反映された資料として有効であることを証明するために、資料論的観点による検討、および得られた用例の質的・量的な観点による考察を行う予定でいる。これらのことが遂行できれば、当初設定していた研究計画の遅れを取り戻すことができると考えている。 得られた研究成果については、所属学会での発表、学術論文の執筆、および学会誌への投稿へと発展させていく予定である。
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Causes of Carryover |
令和5年度は、宮城県図書館での調査と閲覧を実施することができたため、計上した旅費については執行することができた。ただ、これまで採取したデータを記録・保存するための物品や論文執筆において必要な書籍を購入するための費用に関しては、あまり執行できなかった。 そこで、本年度は、宮城県仙台市で複数回実施する文献調査のための旅費、これまで採取したデータを記録・保存するのに必要な物品を購入のために設備備品費や消耗品費、データの質的・量的検討やデータ分析、論文執筆の際に必要な書籍購入のための消耗品費について、それぞれ執行する予定である。
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Research Products
(2 results)