2022 Fiscal Year Research-status Report
Linguistic Analysis of Showa audio materials on Gifu dialect
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21K00546
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
山田 敏弘 岐阜大学, 教育学部, 教授 (90298315)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 岐阜県方言談話 |
Outline of Annual Research Achievements |
岐阜県図書館所蔵の「美濃飛騨古老の聞き書き」の引き続きの書き起こしを行っている。2022年度には、2地点数十分の談話資料の書き起こしを行い、それを資料として分析した研究成果も公表したが、著作権の処理は相変わらず難航しており、談話全体を引用する形ではなく、文法形式に限定した引用をする形で公表せざるをえなかった。それでも、文末表現「ヨル」に関しては十分な研究成果を上げることができた。特に、複数語形で表現可能な形式の選択は、談話資料から数量的にも検証する必要があるが、この点を十分に確認できた点は、2022年度の大きな成果である。 一方、岐阜県内の他の昭和方言談話資料として、あらたに郡上市明宝地区の『奥美濃よもやま話』を資料化しつつある。今回の科研費で新規に始めた上記以外の談話資料の分析についても、十分な実績を上げることができた。『奥美濃よもやま話』は全5巻のうち第1巻が完成した。今後、数量的な報告としてあらたに指定辞「だ」の分析を行う予定が整った。 談話資料整備と、それに基づく成果の刊行を、2022年度は十分に達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
著作権の処理で難航していた資料を諦め、あらたに処理が済んでいる資料の書き起こしを始めたため、十分な研究成果を上げることができた。特に、郡上市明宝地区の方言資料『奥美濃よもやま話』については、文字データ作成のみならず、談話資料の検討を、地元の明宝地区での勉強会に加わり談話資料の検討メンバーにもなったことにより、通常では見落としがちな文末表現の意味の異なりに関して理解を深めることができたなど、大きな進展があった。単に研究室でデータ整理するだけでなく、方言談話資料が作成された地区での活動を一定程度行うことができたことが、今回の方言資料の資料的価値を高めるのに大きく役立ち、2022年度は岐阜県方言談話資料の質・量両面からの充実を図ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、郡上市明宝地区の談話資料分析を、地元での勉強会参加に加え聞き取り調査をより多くすることで継続していく。飛騨と美濃の中間的位置にあるこの中濃域北部と隣接する飛騨南部下呂市地域は、これまであまり注目されてこなかった地域でもあるので、できれば、隣接する下呂市馬瀬地区の談話資料の整備をしていくことで、岐阜県内の談話資料を全般的に整備していくことを目指す。 これらにより、現在、本科研代表者として作成する談話資料以外に関わっている国立国語研究所のプロジェクトでの岐阜市及び高山市の方言談話資料とともに、より密度濃く岐阜県の方言資料を整備していくことになる。 また、量的に方言談話資料を増やすだけでなく、一回の言い間違いでないかなど質的検証も実地調査を通じて行い、その背景にある文化や時代的背景を合わせて、談話資料の充実を図っていくことが今後の目標となる。
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Causes of Carryover |
コロナ感染予防の観点から、各地臨地での方言調査を行うことが限られていたため、旅費が執行できないでおり、残額が膨らんでいる。また、コンピュータに長けていて、かつその地域の方言に精通している人を確保することも困難であることから、研究代表者が書き起こすことに限定して作業を進めているため、人件費も節約できている。
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