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2022 Fiscal Year Research-status Report

文字生活史としての近世庶民の漢字意識ー『小野篁歌字尽』周辺資料を中心としてー

Research Project

Project/Area Number 21K00560
Research InstitutionKansai University

Principal Investigator

乾 善彦  関西大学, 文学部, 教授 (30193569)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords往来物 / 骨皮道人 / 滑稽演説 / 小林清親
Outline of Annual Research Achievements

本年度は3年計画の2年目にあたり、1年目がコロナの影響によって、遅れを生じていたのに対して、予定通りの研究が遂行でき、さらにそれ以上の展開の足掛かりをつかむことができた。『小野篁歌字尽』の展開資料と索引については、実績として公開できていないが、ほぼ調査を終えている。
今年度の成果として公表したのは、「痩々亭骨皮道人著述・校閲等関係書目一覧(稿)」(関西大学 国文学107号、2023.3)であるが、これは、「小野篁歌字尽」の展開資料に続いて、文字に関する往来物資料全体の展開資料として、浮世絵の文字資料を考えるための基礎作業である。
骨皮道人は明治20~30年代に一世を風靡した滑稽演説書群の作者であるが、絵師小林清親との共同で、風刺絵の詞書もものしている。その内容は、幕末から明治にかけての日本語表記研究の資料として有効であることを、第一回文献日本語研究会(7月30日、オンライン開催)において、「文字生活史資料としての浮世絵 」と題して研究発表をおこなった。
そこで論じたのは明治期の絵と詞とを含む資料の書誌的な面での基礎研究がまだまだ不足していることであるが、その書誌的研究を行うための基礎資料として、著述目録を作成した。
次に表記関係の研究成果としては、そのほか、漢文訓読と和歌散文連接形式の展開 2023.3 奥村佳代子編著『周縁資料と言語接触研究』(関西大学東西学術研究所研究叢書12)は、本研究とは直接、関係する部分は少ないように見えるが、表記研究全体から散文中の歌の引用方法と会話引用方法との類似と、その源泉について、漢文訓読の影響を論じたものであり、上記骨皮道人の著述の大部分が会話体になっており、その基本的な概念について、あらためて確認したものである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度で、『小野篁歌字尽』の展開資料の整理を終えており(未発表)、『歌字尽』の索引についても基礎資料の整理を終えており、索引としての体裁を最終年度に整える予定である。
今年度ではさらに、『小野篁歌字尽』にかぎらず、文字に関する往来物全体の言語遊戯的な側面への展開として、浮世絵と往来物との関係についての考察をすすめるために、積極的に資料の収集に努め、とくに明治期に焦点を当て、滑稽本作者骨皮道人と絵師小林清親との共同による作品群の整理を行った。
具体的には、「痩々亭骨皮道人著述・校閲等関係書目一覧(稿)」として発表し、今後の展開のための基礎資料とした。また、「教育いろは談語」をはじめとする浮世絵資料の翻刻を進めている。
最終年度は成果の公表の方法について考える必要性があるが、公表に向けて最終的な整理の段階に入っている。

Strategy for Future Research Activity

最終年度はすでに整理を終えている、『小野篁歌字尽』の展開資料、索引等の発表方法を考えて、単なる紙ベースではなく電子資料としての公開方法を模索する予定である。
展開資料については、すでに整理を終えて『廓〇[竹+愚]費字尽』『小野〇[竹+愚]譃字尽』『无筆節用歌字絵尽』などについては、検討も終えており、注釈的な記述の公開を考えている。
索引についても、近年の研究形態の変化からすれば、紙ベースの公開よりは、電子データの公開の方が有効であると考えるが、その具体的な方法については、研究代表者の能力を超えるものがあり、協力者の選定も含めて重要な課題であると考えている。
さらに骨皮道人の資料についても、浮世絵関係資料では画像資料が中心であり、その公開方法は注意する必要がある。さらに、言語資料としてはコーパスの開発も視野に入れる必要はあると考えている。

Causes of Carryover

本年度は、昨年度に引き続き地方出張をしての調査研究が完全に自由ではなく、出張予定が着実に遂行できなかったために残額を生じてしまった。また、その分、資料収集は予定よりもはかどっており、その整理のための費用のあまり遂行できていない。
最終年度は調査出張を当初予定よりも多く計画しており、成果公表に電子媒体も計画しており、その方面での予算執行を計画している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 痩々亭骨皮道人著述・校閲等関係書目一覧(稿)2023

    • Author(s)
      乾善彦
    • Journal Title

      国文学

      Volume: 107 Pages: 220-234

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 漢文訓読と和歌散文連接形式の展開2023

    • Author(s)
      乾善彦
    • Journal Title

      奥村佳代子編著『周縁資料と言語接触研究』

      Volume: ー Pages: 59-75

  • [Presentation] 文字生活史資料としての浮世絵2022

    • Author(s)
      乾善彦
    • Organizer
      第1回文献日本語研究会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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