2023 Fiscal Year Annual Research Report
Introducing a biological view into the syntactic and semantic studies on the gap among humans, plants, and language
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21K00569
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
松本 マスミ 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10209653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 康比己 大阪教育大学, 教育学部, 名誉教授 (30110795)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヒト / 植物 / 言語 / 園芸動詞 / 連結動詞 / 遺伝子 / 染色体 / 生活環 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物の生物学的特徴とヒトの認識の間の「ずれ」が、言語表現にも反映していることを生物学的な見地を導入しながら、英語の植物表現を用いて明らかにすることを試みた。松本は、分担研究者の向井名誉教授から定期的にレクチャーを受け、植物学、 生物学の知識を増やした。一方、松本もこの研究における言語学における専門的内容を向井教授に解説した。 松本 (2017)で提案した「ヒトと植物との生物学的・言語学的特徴」の修正を提案し、生物学的特徴として感覚、反応を加えた。球根についての英語の園芸書を分析し、一年草の園芸動詞と球根の園芸動詞を比較し、ヒトの両者に対する認識の違いが園芸書に反映されていることを指摘した。Barbieri et al. (2022)による遺伝子と言語の分類との関連性について考察し、生成文法の知見を活用すると、普遍文法との整合性など具体的な言語特徴とゲノムDNA情報などの関連性の研究へと拡張する可能性があることを指摘した。 さらに、日本語の連結動詞の構造分析の共同研究により、Fong et al. (2023)でForm Copyを用いて項構造と統語構造を分析することができた。 向井は、植物学の基本図書Botanyを中心に、植物の生活環における動詞を中心とした英語表現の解析を行った。また、染色体の研究の学際的な研究への展開の可能性(Mukai (2023))について様々な側面から発表した。特に、染色体の進化について10個のパターンを提案した。 松本は、向井が提案した10個のパターンが、言語の構造における基本操作である併合(merge)のパターンと並行的であることを発見し、言語における実例と照らし合わせて、現在研究発表の準備を行っている。上記の項構造と統語構造の知見も交えて言語学と生物学の学際的な研究成果が得られつつあるといえる。
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