2021 Fiscal Year Research-status Report
日英語における所有の概念と名詞句の意味機能との関連性
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21K00578
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
小深田 祐子 熊本学園大学, 商学部, 准教授 (50466653)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 名詞句の意味機能 / 定性効果 / 所有構文 / コピュラ文 / 譲渡不可能所有 / 絶対存在文 / 変項名詞句 / 指示的名詞句 |
Outline of Annual Research Achievements |
英語の所有構文の定性効果に関するこれまでの先行研究では、定性効果が生じるのは、所有動詞の目的語に親族関係や身体部分などの関係概念を表わす名詞が用いられる場合であるとされてきた。親族関係や身体部分は、他人に譲渡できないものであり、譲渡不可能所有と呼ばれる。つまり、譲渡不可能所有という概念こそが、所有構文に定性効果を生じさせる原因だとされてきた。一方、この概念の対となる、譲渡可能所有が表わされる場合には、その効果は出ないとされる。しかしながら、先行研究の説明に反して、たとえば、譲渡可能所有が表される場合であっても定性効果が生じる場合もあれば、反対に、譲渡不可能所有を表わす場合でも、定性効果が現れない場合もあるという言語事実がある。本研究は、こうした従来の説明では十分に捉えられない事実を包括的に説明しようという試みから出発している。本研究の目的に照らして、初年度の2021年度は、こうした言語事実を統一的に説明する条件を探り、従来あまり注目されてこなかった、名詞句の意味機能の観点から、これらの構文の定性効果を捉えなおした。具体的には、Nishiyama (1997, 2008, 2020)や西山 (2003, 2009, 2013)における日本語のコピュラ文や絶対存在文などの知見に基づき、英語の所有構文の定性効果を、所有動詞の目的語名詞句の意味「機能」の観点から考察した。その結果、たとえ目的語名詞の表わす意味自体は同じであったとしても、その名詞句が変項名詞句なのか指示的名詞句なのかに応じて、定性効果の有無に差が生じると結論付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で設定した通り、定性効果という現象を名詞句の意味機能の観点から捉えなおすという点は、おおよそ予定通り進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度以降は、名詞句の意味機能を手掛かりとして、一見、所有の概念と関連しないと思われる構文との関係を探る。とりわけ、日本語のコピュラ文や存在構文との比較検討を試み、日英語の文法体系における通言語的に普遍的な特徴および個別的な差異を明らかにする。
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Causes of Carryover |
Covid-19の影響により、学会・研究会がオンライン開催となったものが多く、旅費がかからなかったため。次年度以降に、データベース化をはかるためのパソコン購入や関連書籍の購入など物品費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)