2021 Fiscal Year Research-status Report
国際英語(EIL)の概念を導入した大学英語教育が学習者に与える影響
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21K00772
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大森 愛 日本大学, 商学部, 准教授 (20440258)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | EIL / 国際英語 / 母語話者規範 / 教育実践効果 / 英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
非母語話者間の英語によるコミュニケーションの拡大とともに、国際英語(English as an International Language, EIL)の概念を導入した英語教育の必要性が提唱されてきたが、概念と実践の隔たりは大きい。本研究の目的は、大学生の英語学習者が抱く英語母語話者規範の実態を把握し、EILの概念を導入した英語教育が大学生の英語母語話者規範に与える影響を明らかにしようとするものである。 本年度は、収集したアンケート調査をもとにEILの概念を導入した英語教育が学習者の英語母語話者規範に与える影響について定量分析を中心に研究を進めた。学習者の個人差(今までの英語教育・経験と、英語を学ぶ姿勢、自身の英語力に対する自信)を加味した分析も行った。 結果は、EILの概念を導入した英語教育を受けたことによる、学習者自身の英語力に対する自信への統計的有意な影響は認められなかった。その一方で、学習者の意識において、英語の発音と流暢さの側面で英語母語話者規範が弱まる傾向が認められた。また学習者の個人差を加味した分析結果から、普段の生活で英語を使用しない英語学習者においてEILの概念を導入した英語教育を受けたことで発音と流暢さの側面で英語母語話者規範が弱まる傾向にあることが分かった。 以上の分析結果を2つの国際学会(AILA (International Association of Applied Linguistics), BAAL (British Association for Applied Linguistics))にてリモートで発表した。 EILの概念を導入した英語教育の取り組みと研究は、今日的課題に重要な関連性を有する研究であることから、今後はさらに詳細な分析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在もコロナ禍が続いていることから現地に赴いて国際学会に参加することはできなかった。しかし、リモートで国際学会に参加して研究成果を発表することができた。その結果、国内外の研究者と研究について交流することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、EILの概念を導入した英語教育の効果について学習者の個人差を加味したより詳細な定量分析を進める。さらに、実施したインタビュー調査の分析に必要なデータの整理や文字に起こしといった準備を進める。
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Causes of Carryover |
令和3年度から令和4年度にかけて繰越金が生じた。その主な理由は、さまざまな努力の結果予定よりも経費を抑えることができたためである。また、参加した2つの国際学会がコロナ禍で共にリモートで開催されることとなり、海外への渡航費が未使用となった。 令和4年度の研究費の使用計画としては、実施したインタビュー調査の書き起こしと分析に必要なソフトウェア購入にまとまった費用を充てたい。それ以外の経費で大きな額を予定しているものは、国際学会参加に要する費用である。
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Research Products
(2 results)