2021 Fiscal Year Research-status Report
High School and University Linked Education in Spanish Aiming to Construct a Multilingual and Multicultural Society
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21K00791
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
小倉 麻由子 昭和女子大学, 国際学部, 講師 (80896548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 護 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 講師 (50726346)
高畠 理恵 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 講師(非常勤) (40896502)
ガルシア カルメン 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 講師(非常勤) (10897341)
プリエト ベロニカ 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 講師(非常勤) (70897363)
齋藤 華子 清泉女子大学, 文学部, 教授 (40338249)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スペイン語 / 高大連接 / 多文化多言語社会 / 中等教育におけるスペイン語 / 言語政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度には、清泉女子大学チームは高校生向けスペイン語スピーチコンテスト参加者を対象にアンケート調査を行い、参加者のスペイン語力やスペイン語との関わり、スピーチコンテスト参加を通じて得られた経験、今後のスペイン語学習に対する意識について調査した。 一方慶應義塾湘南藤沢チームは、自分達の生徒たちの属性(学習環境、外国語学習歴など)を再確認しながら、日本におけるスペイン語学習の実態について研究を行った。さらに、「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」および「中学校学習指導要領(平成29年告示)」、「小学校学習指導要領(平成29年告示)」と、「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR: Common European Framework of Reference for Languages)」および「言語と文化への多元的アプローチのための参照枠(FREPA/CARAP: A framework of reference for pluralistic approaches to languages and cultures)」とそれにまつわる先行研究の調査を行って、実際の授業でどのように反映されているかの理論づけを行った。また、スペイン語ネイティブ教員にも理解できるよう、学習指導要領のスペイン語訳も実施し、日本の高校教育においてどのような外国語教育が望まれているかをチーム全体で把握した上で、CEFRやFREPA/CARAPを参照することの意義についても考察した。そして、こうした考え方を元に構築してきた授業を通じて、実際に生徒たちが何を学び、どう感じているのかを知るために続けてきたアンケート調査の集計を行って、教員側が設定した目標をどれくらい達成できているのか、また、実際にどれくらいの効果が挙げられるのかを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度に予定されていた文献調査と慶應湘南藤沢高等学校での取り組みに対する意識調査と分析の実施については予定通りに実施することができた。また、研究分担者や研究協力者の援助を得ながら、他の中学・高校のスペイン語教育に携わる教員とのコミュニティ作りを行うという点においては、学会や研究会への参加によりこれらの先生方と知り合い、意見交換する機会が得られたものの、コロナ禍の影響により、まだコミュニティ作りというレベルまでは達することができていない。しかし、清泉女子大学で実施している高校生のスペイン語スピーチコンテストを通じて、スペイン語学習に取り組む高校生たちの生の声を集めることで、教育者だけではなく学習者のネットワーク作りもできていることから、予定していた以上の収穫が得られていることも事実である。 また、ネイティブ話者であるガルシア、プリエトには、「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR: Common European Framework of Reference for Languages)」およびCEFRの補遺版についての研究分析を担当してもらい、文部科学省の学習指導要領(外国語)と照らし合わせて、求められるガイドラインについて学外の教育者たちと共有するという点においても、CEFRおよびCEFRの補遺版だけにとどまらず、「言語と文化への多元的アプローチのための参照枠(FREPA/CARAP: A framework of reference for pluralistic approaches to languages and cultures)」の研究分析も行うことができ、さらに複言語教育の領域にも足を踏み込むことができた。さらに5月末には学会発表も予定されている。 また教育現場でのICTの活用は、授業内で取り組んでいるところである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、2022年度には、2021年度の研究調査を取りまとめ、学会や学会誌などで発表していくとともに、様々な学校における教育アプローチおよび教育者と学習者双方の思いに関する調査を実施し、分析する。さらに、可能な範囲でスペインでのCEFRの適用と、2018年の補遺版の影響を調査し、CEFRに準拠した教育システムと、日本でのスペイン語教育のあいだの相違点を検証することを検討する。また、学外の教育者と連携してセミナーを開催し、情報交換を進め、教員コミュニティの構築の基礎づくりを行う。 さらに、2023年度には調査の分析をとりまとめ、体系化するとともに、実際に授業プログラムのモデルを作成し、必要な教材も合わせて準備した上で日本・スペイン・ラテンアメリカ学会(CANELA)や日本外国語教育推進機構(JACTFL)開催の学会などで成果を発表する。また、独自にシンポジウムを開いてこれまで築いたコミュニティを招待し、高校でスペイン語を教える教員たちと知識や技術を共有し、成果物を製本して配布することを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、旅費などの支出は抑えられた一方で、研究代表者からの出費については、当初予定していたよりも図書購入や必要な資料の印刷代などがかさんで、当初の配分額では不足したため、前倒ししたものの、研究分担者は出張ができなかったりしたことで、初年度の支出が少なく抑えられ、次年度使用額が増えている。これについては、研究分担者については、当初考えていたICT用の機器の価格が予算をオーバーしているため、配分された予算では買い求めることが不可能となっていたことも一因と言える。引き続きコロナ禍の影響によって学会やシンポジウムの開催の多くがオンライン開催となっているため、出張費については当初予定金額と比較して今後も支出が少なくなることが見込まれることから、研究分担者には今年度その分で、当初予定していたICT機器の購入を計画するよう検討してもらっている。
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