2022 Fiscal Year Research-status Report
High School and University Linked Education in Spanish Aiming to Construct a Multilingual and Multicultural Society
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21K00791
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
小倉 麻由子 昭和女子大学, 国際学部, 講師 (80896548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 護 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 講師 (50726346)
高畠 理恵 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 講師(非常勤) (40896502)
ガルシア カルメン 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 講師(非常勤) (10897341)
プリエト ベロニカ 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 講師(非常勤) (70897363)
齋藤 華子 清泉女子大学, 文学部, 教授 (40338249)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スペイン語 / 高大接続 / 多文化多言語社会 / 中等教育における第二外国語学習 / 言語政策 / 複言語主義 / CEFR / 新指導要領 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に進めた研究をまとめて5月28日に「日本・スペイン・ラテンアメリカ学会」において、発表を行なった。その中では、2018年に告示され、2022年4月に導入された高等学校新指導要領が目指す生徒像である、「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力など」「学びに向かう力・人間性など」の3つの柱からなる「資質と能力」をバランスよく育んだ生徒の育成に対して、いかに外国語教育が役立ち、どのようにそのような「資質と能力」を外国語の授業内で育んでいけるかについて、「ヨーロッパ言語共通参照枠(以後「CEFR」)の目指す「複言語主義」と照らし合わせることで、言語政策面からの考察を行い、その結果について報告するとともに、「言語と文化の多元的アプローチのための参照枠(以下FREPA)」を参照して授業内にどのように複文化教育を取り入れていくことができるかについて発表を行なった。同時に、これまでに集計してきた授業内容に対する生徒たちへのアンケートの集計を行って、我々の授業カリキュラムにおけるスペイン語学習を通じて生徒たちが何を学び、どう感じたかについて報告した。 その後、高校を卒業して大学でスペイン語学習を継続した元生徒6名にインタビューを実施して、高校や大学でのスペイン語学習における経験や思いについて話を聞いた。こちらの集計作業については、2023年度で行っていくこととなっている。さらに、2020年度のコロナ禍における実践報告と、新たな方向性の検討も兼ねた考察を行うことを目的として論文にまとめ、コロナ禍の異常事態のオンライン授業という通常以上に複雑な状況下にあっても、CEFRに準拠した教科書を使用して、FREPAに基づいた教授法による授業を、スペイン語初学者である高校生対して実施することが可能であることを再確認すると同時に、第2外国語学習の必要性についても再認識することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度中に行なった調査研究に基づいて、2022年5月末に開催された「日本・スペイン・ラテンアメリカ学会」における研究発表を予定通り行なった。 その後、2022年4月からの新指導要領の実施と、学内の授業プログラムの変更に合わせて新たなカリキュラムの導入が必要になったことから、これまでの内容を見直すことで新たな方向性を見出すことを目的として、2018年度に現在の教員チームで開始した授業に対して毎年実施している授業アンケートと、2020年度のコロナ禍でのオンライン授業に対して生徒たちに行なったアンケートを集計し、今後どのような点を改善すべきかを理解することができたと同時に、これまで実施してきたことが、たとえコロナ禍のオンライン授業という通常以上に難しい状況でも実施可能な授業案であったことが理解できたと同時に、指導要領が目指す人材を育成するためにどのような変化を進めていくべきかを可視化することができた。この新たなカリキュラムにおいて、生徒たちの「資質・能力」がどのように変化していくかを見守り続けるために、引き続きアンケート調査を実施している。 また、「高大接続」面においては、高校から大学に進学し、継続してスペイン語を学習している学生6名に対してインタビュー調査を行なって、自分たちのカリキュラムがこれらの学生たちにどう影響を与えているかを観察することができた。 さらに、本研究の目標の一つである中等教育機関でスペイン語教育に携わる教員のためのコミュニティ作りを行い、本研究についての発表を行う場が設けられるよう、2023年度末のシンポジウム開催を計画したところ、資金面と会場面での支援を得ることができた。 一方で、これまでの研究活動について論文にまとめたことで、CEFRやFREPAに準拠した授業活動の可能性と第二外国語学習の重要性を再認識でき、今後の方向性が可視化できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、まず、2022年度中に行なった、高校から継続して大学でスペイン語を学習している学生を対象としたインタビュー結果の集計作業を行なって、継続学習している学生たちのスペイン語学習や英語以外の外国語学習に対する思いや成果について分析作業を行う。同時に、中等教育機関でスペイン語教育に携わっている教員たちにアンケート調査を実施して、これらの教員たちが実際にどのような状況下で、どのように授業を行っているかを探り、どのような生徒たちが育ってきているかを知ることで、これからの大学での第二外国語の授業のあり方についての考察を行うほか、横のつながりにかける中等教育機関のスペイン語教員たちの悩みや問題について考察を行い、教員間で共有し、今後協力していけるようまとめていく。 さらに、2021年度から実験的に導入している新たなカリキュラムによって、生徒たちのスペイン語学習への思いや成果がどのように変化してきているかを継続で実施しているアンケート調査結果から探り、今後の方向性についての検討を行う。 以上の結果をできるだけ多くの教員たちと共有することを目的として、2023年度中にシンポジウムを開催して、収集・分析した結果を報告し、さらに、独自の教育プログラムを展開している教員仲間に実践報告してもらうことで、中等教育機関におけるスペイン語学習の重要性について、大学でスペイン語教育に携わる教員も巻き込みながら、複言語・複文化教育を人生の早い時点から行うことの意味についても一緒に考える機会を設け、日本における英語プラス1言語教育の持つ重要性について、議論する予定である。 最終的に、これら全ての分析結果や考察をまとめて、本研究の結果として発表することを予定している。
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Causes of Carryover |
学会発表が都内の会場での発表となったことから、旅費の発生がなく、当初の予定よりも支出額が抑えられる結果となったほか、コロナ禍で得られたテクノロジーの活用によって、オンラインで対処できることやデジタル版で代用できるものなどが増え、実際に印刷して配布する必要性などが減少していることで、これまではプリンターの購入などをする必要性が生じなかったほか、それに伴う消耗品の購入を必要としなかったこと、さらに、テクノロジーの活用により、インタビューなどもオンラインでzoomを通じて行うことで、録音もクラウドで行って共有できるようになったことで、録音ファイルの共有などもすべてオンラインで行えるようになったことからも、想定していた郵送費などの経費を必要としなくなったことも影響している。 今年度は、これからシンポジウムの開催があり、それに伴って必要となる雑貨やポスター、プログラム等の印刷など、プリンターやそれに伴う文房具や消耗品の購入が必要となるほか、教員へのアンケート依頼の郵送代、アンケート集計作業やインタビューの文字起こし原稿のスペイン語訳の校正作業などでかかる人件費、シンポジウムの報告集の作成と印刷、郵送代などに使用していく予定である。
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