2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K00813
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小二田 章 早稲田大学, 文学学術院, 講師(任期付) (10706659)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 地方史誌 / 東アジア / 地方志 / 邑誌 / 日本地誌 / 編纂過程 / 研究史 / 杭州 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「地方史誌」(ある統治領域単位の歴史を中心に行政・地理などを項目別に記した総合的書物)が近世東アジアの各地域で共通して発生した原因と背景について考察を進め、その議論の世界史的比較の学術基盤(学界における共通の検討方法)形成を図るものである。 コロナウイルス問題のもと海外への渡航・国内の史料調査・学会参加が困難となり、研究計画は変更を余儀なくされた。小二田章・高井康典行・吉野正史編『書物のなかの近世国家―東アジア「一統志」の時代』(勉誠出版、2021年8月)の編集・刊行を果たした。 また、地方史誌研究の議論を開始するための問題提起論文「「地方史誌」研究事始― 近世日本の比較検討から」(『史観』186冊、2022年2月)を刊行した。論文では中国と日本の地方史誌の編纂概要・研究史整理を行ったが、さらに中国と朝鮮の比較として、学会報告「「地方史誌」研究事始―近世朝鮮の事例から」(2021年成均館大学校・早稲田大学国際学術大会、Zoomオンライン会議、2021年11月13日)を行った。 さらに、報告者の主催するシンポジウム「地方史誌研究の現在」(2022年3月7日、Zoomオンライン会議)を開催し、議論を行った。基調報告「「地方史誌」とはなにか?」を行い、さまざまな地域の研究者との意見交換を行うことができた。現在、該シンポジウムの成果を基礎に論文集『地方史誌研究の現在』を編纂し、2023年2月刊行を目指して準備を行っている。 加えて、中国清朝初期の言説研究の一端として、論文「東坡肉補考」(『多元文化』11号、2022年3月)と史料紹介「静嘉堂文庫蔵“抄本”『咸淳臨安志』について」(『史滴』43号、2021)を刊行した。さらに、主催する大元大明研究会の公開報告会にて、大河原知樹「オスマン帝国の 「総志 」/「方志 」?」の講演をいただき、コメントを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
成果面での予定はだいたい予定通りに進捗しているが、長らく目標となっている「単著刊行の準備」がまだ目途が立っていないこと、及び先行する研究課題から引き継がれた「英語論文の刊行」がまだ完成していない。 また、コロナウィルス感染問題により、海外渡航全般ができず、研究の基盤となる海外調査や研究交流・文献調査が進まないことで、以後の成果形成に遅れが生じる可能性が高い。 さらに、子供の小学校入学・配偶者の勤務異動(準備)などにより、家庭面での負荷が大きくなったため、それも進捗の遅れに関わった。
|
Strategy for Future Research Activity |
まだコロナウィルス問題の終息と海外渡航再開の見込みがつかないため、国内にてできることを優先して計画を行う。 まず、遅れてきた「単著刊行準備」を、できるかぎり今年度中にめどをつけたい。また、2023年2月刊行予定の論文集の編纂・配布も併せて無事に完了させたい。 また、前研究課題から引き継いだ「英語誌投稿・刊行」も、今年度中に完了させたい。 加えて、2023年3月予定のシンポジウム「地方史誌研究の現在2」の準備も行う。 これらの主編・主催項目以外でも、国内の資料・文献を出来るところから整え、研究計画の基礎としていくことで、十分な成果に繋げていきたい。
|
Causes of Carryover |
コロナウィルス問題に伴い、海外渡航とその際の調査・文献購入に予定されていた費用が使用できなくなったため、次年度の論文集編集に関する費用に充てることとした。ただし、前研究課題にて予定していた「英語誌投稿準備」の費用がこちらの項目に入ってきてしまった(理由は前研究課題の成果報告参照)ため、予定額よりも目減りしてしまった。
|
Research Products
(8 results)