2022 Fiscal Year Research-status Report
What did Britain have to cover up? Destruction and concealment of colonial records: a cross-regional analysis of Operation Legacy
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21K00814
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐藤 尚平 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70597939)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脱植民地化 / 歴史認識 / 記憶 / 忘却 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題のテーマは、脱植民地化と歴史認識である。20世紀初頭に最盛期を迎えたイギリス帝国は、二つの大戦で疲弊し、各植民地は独立へと向かった。その過程でイギリスが不都合な過去の記録を大量に隠蔽していたことが、近年の新出史料の発見によって分かってきた。イギリス帝国によるこの文書隠蔽工作は、その実施規模の点でも、また残された史料の量という点においても、世界史上稀な事例である。本研究課題では、この豊富な新出史料を使用して、イギリスが隠蔽しようとした不都合な過去が何であったのかを問うている。 2022年度は、イギリスで調査を行い、新出史料を検討することを目指した。新型コロナウィルスの影響で思うように海外調査が進まず、また新出史料自体が一時非公開にされるなど、自分の統御出来ない部分でいくつかの障害があった。このように逆風が吹く中での研究となったが、可能な範囲から作業を進め、年度の後半には本格的な調査を行うことも出来た。また、こうした過程で、イギリス外務省に対して情報公開請求を行い、有用な情報を得るなど、当初は想定していなかった領域での進展もあった。さらに研究を進める中で、イギリス帝国で行われた文書隠蔽工作と、帝国末期の日本が行なった隠蔽工作との間に一定の類似性をみることが出来るという点にも問題意識を拡大している。当初想定していた以上の視野で本研究課題を検討し始めているという点は、大きな進展である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの影響により海外調査に支障が出たり、史料が一時非公開にされるなど、自分では統御出来ない社会的な障害があったが、そうした中でも可能な箇所から作業を進め、また想定外の進展もみたため。
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Strategy for Future Research Activity |
感染対策を講じた上で、可能な限り積極的に海外調査を行いたい。
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Causes of Carryover |
次年度において海外調査等を予定しているため。
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Research Products
(1 results)