2021 Fiscal Year Research-status Report
Basic Research on the Formation of the View of Japan Created by the "Virtual Image" in the Middle of the 19th Century: Focusing on Its Methodology
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21K00824
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Cultural History |
Principal Investigator |
嶋村 元宏 神奈川県立歴史博物館, 学芸部, 主任学芸員 (40261193)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イメージ / まなざし / ヴェルヘルム・ハイネ / 19世紀 / 画像 / 物語論 / メタヒストリー / 史料批判 |
Outline of Annual Research Achievements |
〝外国人による叙述や画像という表象物を、無批判に客観的事実を示す史料として利用することは問題ではないか?〟、〝必ずしも正確な事実を伝えていない表象物、すなわち「虚像」によって欧米における日本観は形成されているのではないか?〟―これが本研究の核心をなす学術的「問い」である。この「問い」に応えるべく、本研究は、文字史料を中心に、対象とする時代や学術分野を問わず進められてきたこれまでの日本観研究に対し、画像史料を歴史史料として利用する新たな方法を提示することを目的としている。具体的には、ペリー艦隊随行画家ヴィルヘルム・ハイネが描いた約100点の画像を観賞用の美術作品としてではなく、歴史史料として位置づけ史料批判をおこない、史学、絵画、写真を専門とする研究者により多角的に分析し、1点の画像において部分(パーツ)としては事実が描かれているものの、全体としては虚像であることを確認する。これにより、主に文献によっておこなわれてきた日本観研究に対し、新たな方法論を提示する。 当初の計画に従いプロジェクトチームを組織し以下の3つの作業をおこなった。(1)『ペリー提督日本遠征記』に含まれるハイネが描いた画像(口絵、挿絵)のデータベース化。(2)ハイネが描いた画像のうち、特に琉球周辺で描かれた画像を主たる対象に考察をおこない、それぞれの専門の立場から提供されたプロジェクトメンバーの意見を踏まえとりまとめをおこなった。(3)さらに方法論について、メタヒストリー研究及び「物語論」などの史学研究方法の先行研究について整理をおこなった。 なお、COVID-19の影響により当初計画していた沖縄における現地調査は次年度に延期することとした。そのため、画像の分析も現地調査にもとづかない状況における考察となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染拡大防止のため、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が発出されたことで、計画していた沖縄県那覇市を中心とした現地調査をおこなうことができなかった。また、研究協力者との意見交換も、リモート会議システムにより実施したが、対面とは異なり長時間の議論をおこなうことが困難な状況であった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)延期した沖縄現地調査は、COVID-19の感染拡大防止を継続しつつ、先方の受け入れ態勢が整い次第実施する。 (2)2022年7月及び11月に実施を計画している浦賀及び下田の現地調査にあわせ、研究会を開催し、議論を深める場としていく。 (3)沖縄周辺画像の考察を進めるとともに、当初計画通り、浦賀、横浜、下田周辺画像の考察をおこなう。
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Causes of Carryover |
当初計画していた沖縄現地調査を実施できなかったため。COVID-19の感染拡大状況を見据えつつ、先方の受け入れ態勢が整い次第実施する。
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