2021 Fiscal Year Research-status Report
宮崎龍介を中心とする宮崎家所蔵資料の整理・公開・保存に向けた研究
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21K00832
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福家 崇洋 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (80449503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 禎浩 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10222978)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宮崎龍介 / 無産政党 / 日中交渉 / 社会運動 / 大正デモクラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究報告と論稿に分けて報告する。本年は初年度であり、広い視野から宮崎龍介の思想と軌跡を捉えるために、同時代の「大正デモクラシー」について検討を加えた。報告では、京都大学現代史研究会で2021年7月に「大正デモクラシー論再考 戦後民主主義との関連から」の題で報告し、戦後歴史学との関係で大正デモクラシー研究の歴史的かつ現代的な意義を検討した。これを原稿化したのが「大正デモクラシー論再考 戦後民主主義との関連から」『二十世紀研究』 22号(2021年12月)である。またこれ以外の論稿として、「松尾尊兊と大正デモクラシー研究」『人文学報』117号(2021年5月)、「三谷太一郎と『大正デモクラシー論 吉野作造の時代とその後』」『日本史研究』708号(2021年8月)で大正デモクラシー論を論じた。以上は史学史からの検討にとどまるが、大正デモクラシーの時代を歴史学から検討したものに「社会運動の諸相」「国家改造運動」筒井清忠編『大正史講義』(筑摩書房、2021年7月)がある。また、研究分担者の石川は、宮崎がその活動の一部に関わった中国共産党の結党に関して、論稿「記念と展示に見る中国共産党第一回代表大会」(『學士會会報』949号、2021年7月)を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、宮崎龍介研究及び日本史・日中交流史研究の土台を再構成することである。以下、資料の①整理、②保存、③公開に分けて進捗状況を説明する。 ①事前調査で判明していた無産政党関係資料を重点的に整理した。宮崎龍介は無産政党幹部を長く務め、彼しか所有していない無産政党関係資料が宮崎家に存在する。本年度は同資料群を整理して目録を作成することに取り組み、将来的に目録や貴重な資料を公開できればと考えている。②それ以外の資料調査を行うなかで、これまで判明してなかった宮崎龍介関係写真も大量にあることがわかり、それらの一部をデジタル化することができた。宮崎龍介の写真は妻の柳原白蓮との関係で登場することはあったが、今回はそれ以外の貴重な写真が含まれる。③宮崎龍介が活躍した大正・昭和初期時代を表す大正デモクラシーについて史学史及び歴史学の視点から検討を行い、研究報告や論文発表などの成果に結びつけることができた。宮崎龍介の研究は大正デモクラシー研究及び「大正デモクラシー」概念の検討と不可分であり、宮崎龍介の軌跡と思想をいかにとらえるのかという点と関係する。本研究成果によって、大正デモクラシーに関する新たな学説上及び歴史上の視座を提供できただけなく、今後の本研究計画を遂行するうえでの学術上の指針となる成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、宮崎家のご協力のもとで、宮崎龍介関連の資料調査を行うことを予定している。この資料調査に基づき、貴重な資料を翻刻・紹介したり、資料の活用によって論文などの成果をあげたりしたいと考えている。あわせて貴重な資料に関しては保存のためのデジタル化や中性紙封筒の活用など、日本史研究、日中交流史研究で極めて重要な本資料群が活用できる状況を整えていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による出張延期等により次年度使用額が生じたが、計画の進捗に支障は無く、次年度での使用を予定している。
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Research Products
(14 results)