• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2022 Fiscal Year Research-status Report

室町幕府支配下での在国領主の現地支配―在京領主支配との比較から―

Research Project

Project/Area Number 21K00867
Research InstitutionOchanomizu University

Principal Investigator

大薮 海  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (80748054)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywords伊勢神宮 / 荘園 / 御厨 / 御園 / 給主 / 北畠氏 / 守護 / 伊勢国司
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、在国領主である伊勢神宮の所領支配の方法について検討を行った。
伊勢神宮は伊勢国の飯野郡・多気郡・度会郡の三郡を直轄地として支配し、さらにそのほかの伊勢国内の郡や他国においても御厨や御園を有しており、中世を通して巨大な荘園領主であった。
しかしその支配実態の解明は、在京領主や興福寺などの他寺社権門のそれと比較して進んでいるとはいいがたい。その理由として、伊勢神宮の人的組織の頂点に立つ祭主は在京していたものの、経営組織は伊勢国内にあったため、現在の京都を中心とする研究傾向においては看過されてしまっている点が挙げられる。しかしその関係史料は豊富に遺され、『三重県史』などにより史料の活字化や整理が近年大きく進展した。今こそ研究を進める好機であるといえよう。
よって本研究では、伊勢国内の伊勢神宮領について、神三郡内の所領と神三郡外の所領に分けた上で史料の残存状況が比較的良好な場所を複数選択し、鎌倉期から戦国期にわたって支配体制とその変化の検討を行った。
検討結果については論文を執筆中で学術雑誌に投稿予定であるため、詳細はそちらに譲ってここでは概要のみを記す。従来は南北朝期の北畠氏の伊勢国入部以降、伊勢神宮領への北畠氏の介入や侵食が始まったとされ、15世紀半ばにそれがおおむね達成されたと考えられてきた。しかし個々の伊勢神宮領について検討してみると、北畠氏の介入や侵食があったことは確かであるものの、伊勢神宮側に強固に残された権利があったことや、北畠氏の介入や侵食は他国でいうところの守護等による荘園侵略とは性質が異なるものであったことが判明した。北畠氏と伊勢神宮(神宮領)との関係を捉えるためには、他国の例を援用するのではなく、北畠氏の伊勢国内での立場を踏まえた上での検討が必要であるといえる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

コロナ禍により史料の現地調査が難しい状況が続き、さらに年度内の論文執筆という目標を達成できなかったため、「やや遅れている」とした。

Strategy for Future Research Activity

来年度は醍醐寺や久我家を検討対象とする予定であるが、上述のように三重県での史料調査を行えていない。そのために予算の次年度繰り越しを行った。よって本来の研究計画に加えて、三重県での史料調査を訪問先とも相談しながらできるだけ行うようにしたい。

Causes of Carryover

コロナ禍のため現地調査が全く行えず、旅費の支出がなかったため次年度使用額が生じた。次年度はこの次年度使用額を使用して現地調査を行いたいと考えている。

  • Research Products

    (6 results)

All 2023 2022

All Journal Article (5 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 「応仁・文明の乱の原因を室町幕府の構造から考える」2022

    • Author(s)
      大薮海
    • Journal Title

      『歴史地理教育』

      Volume: 948 Pages: 4-11

  • [Journal Article] 「三木良頼の姉小路一族化と飛騨守任官」2022

    • Author(s)
      大薮海
    • Journal Title

      『歴史研究』

      Volume: 704 Pages: 38-39

  • [Journal Article] 「徳川家康の三河守任官は国支配の正当性を帯びるためだった」2022

    • Author(s)
      大薮海
    • Journal Title

      『歴史研究』

      Volume: 704 Pages: 42-43

  • [Journal Article] 「六角義賢の左京大夫任官は新たな「京兆家」誕生の布石か」2022

    • Author(s)
      大薮海
    • Journal Title

      『歴史研究』

      Volume: 704 Pages: 46-47

  • [Journal Article] 「「四職」に並ぶ三好長慶の修理大夫任官」2022

    • Author(s)
      大薮海
    • Journal Title

      『歴史研究』

      Volume: 704 Pages: 52-53

  • [Book] 『コロナ禍で考えた「継承」―デジタル化?デジタルか?―』2023

    • Author(s)
      巽昌子、大薮海、安田次郎、鈴木佑梨、奥田環
    • Total Pages
      226
    • Publisher
      雄山閣
    • ISBN
      9784639028895

URL: 

Published: 2023-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi