2023 Fiscal Year Annual Research Report
Civil engineering historical research on the castle construction technology of the Ryukyu Islands
Project/Area Number |
21K00957
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
山本 正昭 沖縄県立芸術大学, 芸術文化研究所, 研究員 (80789488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 龍太 城西大学, 経営学部, 准教授 (00712655)
森 達也 沖縄県立芸術大学, 美術工芸学部, 教授 (70572402)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 琉球史に見る石積み技法の地域差 / グスク時代における土木技術の伝播 / 琉球列島における城郭遺跡の位相 / グスク時代おける新たな技術導入 / グスク時代における土木技術の展開 / グスク時代における技術者の実態 / 東アジア地域から見た琉球列島の歴史的様相 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度においては八重山諸島地域、奄美諸島地域における14世紀から15世紀にかけての石積みを有する遺跡の踏査ならびに沖縄本島南部における城郭遺跡の現状における3次元デジタル測量図の製作並びにその成果を基に検証を実施した。 八重山地域では波照間島に所在するマシュクと下田原城跡の踏査を行い、石積み遺構の現状確認と構築状況について検証を行った。石積みの石材は琉球石灰岩で野面積みであり、高さは最高で2.5mを測った。石積み配置においては石積みを囲繞し無秩序にそれらを相互に連結していることが解った。奄美諸島地域では沖永良部島の世之主の城跡ならびに後蘭孫八の城跡の踏査を行ったが、何れも防御性が強く現れ出た遺跡であることが縄張り面から確認することができた。石積みは野面積みで急斜面縁辺並びに崖縁沿って配置されていることが認められた。沖縄本島南部における城郭遺跡では糸数グスクと玉城グスクの踏査と3次元デジタル測量を行った。石灰岩崖縁に沿って石積みを配置していることが確認されると共に両遺跡共に石灰岩切石を多用した石積みが確認することができた。また、両遺跡では緩斜面に配置された石積みについては切石積みであることが確認できたことから、配置場所によって石積み技法が異なることも同様に確認できた。 これらから沖縄本島と八重山諸島地域、奄美諸島地域では石積み石材を加工する技術の差異が見られたと共に、八重山諸島地域では沖縄本島と奄美諸島地域と比較して防御性があまり認められないと共に、石積みは防御機能ではなく空間相互の仕切りとしての機能が考えられる。また、沖縄本島や奄美諸島地域では石積みに防御性を見出していくといった傾向が見られることが新たに判明した。
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