2022 Fiscal Year Research-status Report
The Reconstruction Process of Risshakuji Temple and the Origin of Popular Beliefs: An Examination of the Builders of Stone Cultural Properties
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21K00969
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
荒木 志伸 山形大学, 学士課程基盤教育機構, 教授 (10326754)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 石造文化財 / 磨崖供養碑 / 立石寺 / 松島 / 屋号 / 形式 / 施主 / 雄島 |
Outline of Annual Research Achievements |
立石寺山内の未調査の石造文化財について、新型コロナウイルス感染症に関する学内ルールを考慮の上、年度内の実施を検討した。しかし、関係者との複数回にわたる協議の上、今年度も先送りすることにした。引き続き、個人で実施可能な調査、比較対象霊場の現地踏査・分析、研究に関わる文献収集などを中心に進めることとした。 石造文化財の建立者の解明のため、数回にわたり立石寺参道で磨崖供養碑の分布と刻まれ方について検討した。その結果、同時期に刻まれた可能性が高いものを複数抽出することができた。同時建立は、2基単位で刻まれる場合が多いようである。また、弥陀洞地区の調査では、銘文内容と磨崖供養碑の位置関係から、長期にわたり優先的に磨崖供養碑を建立していた家が2~3存在する可能性が浮かび上がってきた。今後、形式学的な検討と地名等の銘文内容を絡めて分析し、山内の近世前期における石造文化財の担い手となった人々の実相について明らかにしていきたい。 他霊場との比較検討に関しては、石造文化財の特徴において類似点の多い松島(瑞巌寺・雄島)と立石寺について、形式および銘文内容等に関する分析をおこなった。その結果、磨崖供養碑の形式について立石寺は板碑形が圧倒的と単一的であるのに対し、松島は様々な形式が存在し、それらは石塔の変遷課程とほぼ同じであることが判明した。施主についても、立石寺では屋号は1例のみしか確認できない一方、松島では雄島をはじめ屋号・氏族名が多数刻まれるといった差異が判明した。この成果に関しては論文誌上で公開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、学生アルバイトを雇用した立石寺での悉皆調査ができなかった。また、感染が拡大している地域への文献収集調査も控えた時期があった。しかし、それ以外の調査や他霊場との比較検討作業は順調に進んでおり、誌上報告や学会等での発表もおこなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症が5類へ移行するにあたり、悉皆調査の実施について改めて検討したい。立石寺はじめとする関係者と十分な協議の上、可能性を探っていく。ただし、山形県では感染者への影響等は他地域と一律に論じられない部分もあり、フィールドの関係者の意向を十分に考慮したい。他霊場への現地踏査や文献収集作業に関わる出張も、感染症の状況をみながら再開していきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響等について、立石寺をはじめ関係者と協議した結果、学生アルバイトを雇用した調査を中止することになったため。また、研究代表者による文献収集に関わる出張も控えた時期があったことによる。
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Research Products
(3 results)