2021 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of OSL-thermometer and Estimation of firing temperature of archeological remains and artifacts
Project/Area Number |
21K00974
|
Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
下岡 順直 立正大学, 地球環境科学部, 准教授 (10418783)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | OSL感度変化法 / 被熱温度推定 / カリウム長石 / ナトリウム長石 / X線回折分析 / 焼成考古試料 / OSL温度計 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 これまでに報告されている光ルミネッセンス(OSL)感度変化法を用いた被熱履歴分析結果を整理し、データベースを作成した。被熱温度推定法を体系化するために、測定条件や解析方法を抽出し整理することができた。 2 電気炉と新たに購入した人工太陽照射灯を用いて、Ca長石、Na長石、K長石の温度に関する感度変化を確認した。その結果、Ca長石はOSLが発光しなかった。Na長石、K長石については、異なる温度特性を観察することができ、これまでは長石とひとくくりにして結果を考察していたが、今後は測定に供した試料がNa長石が卓越しているのか、K長石が卓越しているのかの判断が容易に行えることがわかった。 3 これまで被熱温度推定を行った土器試料、瓦試料、焼土について、X線回折分析を行った。その結果、粘土鉱物等の熱変性などが観察できた。そしてX線回折による被熱温度推定とOSL感度変化法による被熱温度推定の結果が大まかに良い一致を示すことがわかった。これにより、OSL感度変化法による被熱温度推定の正確さが保証されたと考える。 4 以上のデータベースや基礎実験とともに、新たに焼土や瓦の熱履歴分析を行い、新しい知見を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書で計画した研究計画に基づき、実験研究を実施しており、これまでのところ、順調にデータを蓄積できている。また、これまでに行われてきたOSL感度変化法による被熱履歴分析のデータベースを作成したことで、より課題が明らかになってきた。予定した計画にしたがって、次年度も行っていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請書で計画した研究計画に基づき、基礎実験と応用実験を並行して進めながら一つずつデータを積み上げていく。最終的なゴールである感度変化を用いたOSL温度計の確立に向かって実験を進めていく所存である。また、初年度の成果について学会発表するなど、逐一データを公表することで、より批判的にデータを検討していく。
|
Causes of Carryover |
昨年度はコロナ禍の継続で試料採取のための旅費支出が計画通り進まなかった。次年度はcovid-19の感染拡大による社会状況をみながら、被熱履歴分析のための試料収集を行っていきたいと考える。
|