2021 Fiscal Year Research-status Report
Practical construction of next-generation specimen image digitization method for academic data distribution
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21K01012
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
大西 亘 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 主任学芸員 (00588270)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 標本デジタル化 / 学術データ流通 / オープンサイエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、本研究で計画する次世代型の標本デジタル化システムを構築するため、既存手法に関する情報収集や課題の整理を実施するとともに、撮影システムの一部について試作構築を実施した。また、本研究で取扱う対象である植物標本について、国内の標本室における標本の収蔵状況や標本のデジタル化と学術データ流通の実施状況を把握するため、関係者への聞き取りや情報収集を実施した。 具体的な実施内容としては、研究計画時の予定に沿って、対象資料の選定と標本デジタル化手法の開発を主として実施した。 対象資料の選定については、これまで既存の植物標本デジタル化では取り扱われなかった、或いはデジタル化手法として一般的でなかった3タイプの異なる撮影手法について検討するため、それぞれの手法の試行に適したと考えられる標本コレクションを実施候補として選定した。なお、本研究の申請時には国内他博物館の資料を対象資料とすることも想定していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況によって実施が危ぶまれる恐れがあるため、研究実施者の所属機関や近隣の博物館等のコレクションを主な実施対象とすることとして計画を見直し、候補標本の選定を実施した。 標本デジタル化手法の開発については、従来にない高品質かつ作業の効率化を達成可能な次世代型の標本デジタル化システムを構築するため、撮影手法ごとに必要な機具や部材を適切に組み合わせてシステムを構築する必要がある。一方で本研究で利用できる予算と実施期間に限りがあるため、2021年度には、システム検討に必要な最小限の機具や部材を調達し、撮影システムを部分的に構築して試作と試用を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の実施内容については、研究計画時の予定に沿って、対象資料の選定と標本デジタル化手法の開発を主として実施し、いずれも概ね計画時の想定通りに進捗が見られた。 ただし、新型コロナウイルス感染症の拡大状況下にあって、研究に関連する研究者や技術者と直接的な情報交換を想定して予定していた出張などの一部が実施できなかった。これらについては現時点では研究の進捗に影響を及ぼすものではないが、2022年度に振替実施する予定である。具体的な実施内容のうち、対象資料の選定においては、研究計画申請時には国内他博物館の資料を対象資料とすることも想定していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況によって実施が危ぶまれる恐れがあるため、研究実施者の所属機関や近隣の博物館等のコレクションを主な実施対象とすることとして計画を見直し、候補標本の選定を実施した。現時点ではこのことによる今後の研究遂行上の支障は想定していない。また、同じく実施内容のうち、標本デジタル化手法の開発においては、本研究で利用できる予算と実施期間に限りがある中、2021年度には、システム検討に必要な最小限の機具や部材の調達を実施したが、カメラ、照明器具、その他資材の一部について、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に起因するとみられる生産と流通の停滞によって、研究計画申請時に想定していた期間より長期間の調達期間が必要となり、また調達予定価格についても供給不足による大幅な値上がりが生じた。現時点ではこのことによって今後の研究遂行が困難となる状況ではないが、2022年2月に始まったウクライナ戦争に起因するとみられる円安と供給不足がさらなる追い風となり、当初の研究計画申請時に想定していた必要な資機材の調達が当初計画通りに進まない恐れがある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、当初計画通りの実施を目指す。ただし、2021年度に引き続き、2022年度も新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大状況の変化とそれによる社会的影響が懸念され、また2022年2月に始まったウクライナ戦争や極端な円安情勢によっても、当初の研究計画申請時に想定していた外部研究者の協力や標本へのアクセス、必要な資機材の調達などの点において、計画が当初の想定通りに進まない恐れがある。このうち、外部研究者の協力については、リモートでの打合せや共同作業の形態変更を実施することで、研究遂行上の支障とならぬような配慮が可能である。また、標本へのアクセスについては、本研究申請時に想定していた国内他博物館の資料を対象資料とする計画は見直し、研究実施者の所属機関や近隣の博物館等のコレクションを主な実施対象とすることとすることで研究遂行上の支障とならぬような配慮が可能である。必要な資機材の調達については、研究計画申請時に想定していた資機材のうちにも、すでに調達が不可能な物品が多く生じていたり、研究計画申請時に想定していた期間より長期間の調達期間が必要となり、また調達予定価格についても供給不足による大幅な値上がりが生じており、見通しは厳しい。しかしながら、現時点ではこのことによって今後の研究遂行が困難となる状況にはなっておらず、引き続き当初計画通りの実施を目指して研究を進める所存である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大状況下にあって、研究に関連する研究者や技術者と直接的な情報交換を想定して予定していた出張などの一部が実施できなかったため、旅費が当初想定通りに執行できなかった。これらについては2022年度に振替実施する予定であり、繰越が必要である。また、システム検討に必要な最小限の機具や部材の調達において、カメラ、照明器具、その他資材の一部について、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に起因するとみられる生産と流通の停滞によって、研究計画申請時に想定していた期間より長期間の調達期間が必要となり、また調達予定価格についても供給不足による大幅な値上がりが生じたため、調達する資機材の内容や調達順序を変更したため、物品費についても当初想定額の執行ができなかった。これらについては2022年度に振替調達を実施する予定であり、繰越が必要である。
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