2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K01321
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
遠藤 知子 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (00609951)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 職場デモクラシー / ケアデモクラシー / I.M.ヤング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、規範政治理論にける職場デモクラシー論の「範囲」の問題を1)個別の組織内部の民主的統治と社会正義との関係、2)職場デモクラシーと再生産労働との制度的関係という二つの観点から検討することである。2022年度の研究計画は、1)の検討を継続するとともに2)に関する検討を開始することであった。 1)については、人々を社会的に位置付ける背景的な構造の生成に対する社会的アクターの関与を認めるアイリス・マリオン・ヤングの構造的正義論を援用し、職場デモクラシーと社会正義の関係について考察した。具体的には、支配の防止や市民教育的機能を焦点化する既存の職場民主主義論に対し、対等な社会関係の実践を通じて背景的構造を生成する社会的プロセスを方向づける政治的アクターとしての民主的企業理解を提示した。これを英語論文としてまとめて海外ジャーナルに投稿し、2022年度中は査読コメントにもとづいて複数回の修正を行なった。また、公正な政治参加における民主的結社の重要性に注目し、職場デモクラシーの政治性に関する議論をさらに発展させた論文を海外ジャーナルに投稿した。 2)については、ケア論やケアデモクラシーに関する先行研究のレビューを行い、職場デモクラシー論との関係を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に合わせて概ね研究は進展している。英語論文2本を完成させ、海外ジャーナルに投稿することができた。査読プロセスに時間がかかっているため、現在まで掲載に至っていないが、2023年度中の掲載を目指したい。
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Strategy for Future Research Activity |
ケア労働の重要性が増している中、職場デモクラシーとケアデモクラシーが接近し得るという観点から引き続き両者の関係について理論的考察を行う。2023年度中に日本で開催される国際ワークショップに参加し、本研究へのフィードバックを得た上で日本語または英語の論文を書き上げる。
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Causes of Carryover |
2022年度は海外の学会報告などに参加することができず、未使用額が生じた。未使用額は残りの研究期間中に海外学会報告または研究成果の公表のために使用する。
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