2022 Fiscal Year Research-status Report
Economic Problem in Okinawa due to the Transition from American Rule to Japanese Rule
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21K01614
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮地 英敏 九州大学, 附属図書館, 准教授 (90376575)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 沖縄 / 電力業 / 10電力体制 / 西表島 / 本土復帰 / 琉球政府 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022(令和4)年度は、資料調査を行うとともに、論文を1本(2023年3月刊行の『エネルギー史研究』に掲載)、書評を1本(2022年12月刊行の『経営史学』に掲載)をそれぞれ執筆している。また2023(令和5)年度に行う学会報告2本(社会経済史学会および日本経済思想史学会)のアプライと、論文1本の提出を行った。 具体的には、2022年8月および2023年3月に、沖縄県立図書館および那覇市立図書館へと資料調査に出かけ、アメリカ占領下の沖縄電力業に関する論文を執筆するための資料収集を行うとともに、同時期のその他の産業に関する資料調査も並行して行った。また、同資料調査での成果も利用しつつ論文を執筆するとともに、経営史学会から依頼された書評の執筆も行った。 沖縄の電力業は、1972(昭和47)年5月の沖縄の本土復帰以後は、若干の発送電と配電の分離期間を挟みつつも本土の9電力体制と同じ水準の10電力体制へと収斂されていく。従来の研究史では、この10電力体制への収斂をある程度の予定調和的なものとして描いていたのであるが、今回の研究により日本本土の通商産業省の方針を打破すべく琉球政府などが奮闘した産物であることが明らかになった。特に、屋良朝苗政権下で、砂川恵勝局長が率いる琉球政府通商産業局が旗振り役となった。屋良政権は革新政権であり、労働組合の影響も強かった。 以上のような資料調査および研究を行っていく過程で、西表島の開発計画に関する1点物の資料を発掘することに成功した。そのため、2023年度の日本経済思想史学会での報告のアプライは西表島の開発計画に関するものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の1年目である2021(令和3)年度は、沖縄における資料調査(沖縄県立図書館、那覇市立図書館、沖縄県公文書館など)を中心に行った。 それら資料を軸としつつ、研究計画の2年目である2022(令和4)年度には、論文1本(沖縄の電力業に関するもの)および書評1本(沖縄の企業家史および経営者史に関するもの)の掲載が行われるとともに、2023(令和5)年度の学会報告2本(沖縄の電力業に関するもの・西表島の開発計画に関するもの)と論文1本(西表島の開発計画に関するもの)の準備も行うことができた。またこれとは別に、新たな論文の執筆準備も進んでおり、当初予定通りのペースで研究は進行している。 ただし、沖縄での現地調査に関しては、2021(令和3)年度に新型コロナウイルスによって調査が1回行えなかったこともあり、2022(令和4)年度は新型コロナウイルスによる行動自粛期間が残っていたこともあってその分を解消しきることはできず、予算の消化が旅費1回分残っている。そのため、2024(令和5)年度にその分を解消する予定である。具体的な調査先としては、沖縄県立図書館、那覇市立図書館、沖縄県公文書館を考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023(令和5)年度、8-9月と3月および時期不定の3回(もしくは、8-9月または3月の調査期間を長くして2回で終わらせる)の沖縄での資料調査(沖縄県立図書館、那覇市立図書館、沖縄県公文書館など)を予定している。この資料収集により、アメリカ占領下の沖縄の産業状況に関する資料調査が進展することが期待される。 また、5月には佐賀大学で開催される日本経済思想史学会の全国大会と、西南学院大学で開催される社会経済史学会の全国大会で、それぞれ自由論題報告を予定している。前者は西表島の開発計画に関する報告を、後者は沖縄の電力業に関する報告を行う。 論文の執筆はすでに1本終えて校正原稿待ちのもの(西表島の開発計画に関するもの)があり、それとともにもう1本の論文執筆を予定している。 2023(令和5)年度中に資料収集をある程度は終える予定であり、最終年度である2024(令和6)年度はさらに学会報告を1本以上と、論文を1本以上は掲載できる見込みである。これにより、4年度のプロジェクトにより論文4本以上、書評1本以上、学会報告3回以上の目途が立っており、当初のプロジェクト計画どおりの順調な進行が見込まれる。
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Causes of Carryover |
2021(令和3)年度に新型コロナウイルスによって現地調査ができなかったために、その分を2022(令和4)年度に解消しようと試みたが、依然として新型コロナウイルスによる行動自粛期間があったために解消しきれなかった。そのため、2023(令和5)年度に予定より1回多い現地調査を行うか、1回あたりの調査機関を伸ばすことにより、予算の消化を行いたいと考えている。
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Research Products
(2 results)